著者 : ブロンウィン・スコット
清貧のシンデレラにはわかっていた。 愛だけでは身分差は超えられないと。 社交界デビューを間近に控える牧師の長女コーラは、 若きハーロウ公爵の舞踏会へ出席できることになったーー 折しも自宅に誤配された返送先不明の空色のドレスをまとって。 それは、彼女の境遇では到底買えない高級なシルク地の上等品だった。 いざ舞踏会が始まり、コーラを最初のワルツの相手に選んだのはなんと、 夏の海のような青い瞳が美しい、ハーロウ公爵デクラン! コーラはたちまち彼に惹かれるが、みずからの素性は明かせなかった。 貧しい牧師の娘が公爵と結婚できないことはわかっていたから。 でも、このおとぎばなしの続きを味わいたい。あともう少しだけ……。 そう願ったが、その空色のドレスは私のものと主張する令嬢が現れーー 長年、母の看病や妹たちの世話に忙しくしてきたコーラ。貧しさゆえただ一度のチャンスと臨む社交界シーズンに、天の恵みのように受け取ったドレスが恋の波瀾を巻き起こします。しかも空色のドレスの持ち主は、デクランの第一の花嫁候補と目される令嬢で……。
見知らぬ伯爵の匂い立つ魅力に、 乙女の胸はざわめいて……。 「君たちに関することはすべて把握するのが僕の役目だ」 ロンドンに出てきたばかりのテッサとその妹たちは、 傲慢な伯爵ペイトン・ラムスデンを前に戸惑いを隠せなかった。 生前の父が、私たちが全く知らない男性に後見役を頼んでいたなんて。 比類なく美しい伯爵は姉妹の日常にたやすく溶け込み、 寄る辺なきテッサの疲れた心を巧みに解きほぐしていく。 舞踏会で彼とワルツを踊ったあとに物陰で唇を奪われ、 生まれて初めての喜びに漂うテッサは夢想だにしなかった。 彼の唇からこぼれる言葉はすべて偽りだということをーー 甘い愛の囁きも、彼が後見人であるという話も。 特殊な事情により極秘の任務を帯びて姉妹を守護するペイトンと、そんな彼への恋心を密かに募らせるテッサ。制約に縛られながらもどうしようもなく惹かれあう二人に、やがて命の危機が訪れて……。2018年RITA賞ファイナリストが描く激動の愛をご堪能ください!