著者 : ヘレンケイ・ダイモン
独り残されたシンデレラは、 富豪一族の世界へいざなわれ……。 子供の頃からいつも社交的な姉の陰に隠れて地味だったハンナは、 ニューヨークで清掃の仕事をして暮らしている。 そんな彼女のもとへ、突然、カーター・ジェイムソンが訪ねてきた。 彼は巨大企業を経営する富豪一族の出身で、 ハンナが十代のとき、密かに想いを寄せていた相手だ。 けれど、もうジェイムソン家とはいっさい関わりたくなかった。 半年前、カーターと関係し身ごもった姉が、捨てられた末に命を絶った。 彼の父に渡された口止め料の小切手を破り捨てたハンナだったが、 今、10年ぶりに見るカーターはとてつもなく魅力的で、動揺してしまう。 だが彼の手には、父から預かった“封筒”が握られていてーー 叶うはずもなく胸の奥にしまっていた小さな恋が長い眠りから覚め、ハンナを思いがけない運命に巻き込んでいくーー栄えあるRITA賞を受賞した作家ヘレンケイ・ダイモンが描くシンデレラ・ストーリー! 『悪魔のキスに魅入られて』『貴公子に疑われた淑女』の関連作です。
どうか信じてほしい。 私の愛は偽りではなく、本物だと。 大富豪ジェイムソン家の次男、スペンスが帰ってきたと聞き、 アビーは動揺した。彼はまだ私を疑っているかしら? 数カ月前まで、アビーとスペンスは恋人同士だった。 だが悪夢のような出来事が、突然ふたりを引き裂いた。 あろうことか、スペンスの父親に無理やりキスをされ、 その場面をスペンスに見られてしまったのだ。 彼はアビーの話も聞かず、冷たく背を向け、街から姿を消した。 あのとき、どうして私のことを信じてくれなかったの? スペンスは心から詫び、変わらぬ情熱でアビーを包みこんだが、 彼女が身ごもったと知ると、とたんに表情を曇らせて……。 RITA賞受賞作家ヘレンケイ・ダイモンの、『悪魔のキスに魅入られて』に続くドラマティックなロマンスをお楽しみください。最愛の恋人に信じてもらえなかったばかりか、置き去りにされ、深く傷ついたヒロイン。彼女の心が癒える日は来るのでしょうか?
私があの傲慢な大富豪の新恋人ですって?ふと目に飛びこんできたゴシップ記事に、エリーは憤慨した。デリック・ジェイムソンーあらゆる女性を虜にしてしまう魅力的な大企業のCEOは、エリーにとっては憎むべき敵なのだ。彼女の弟を泥棒扱いし、解雇した張本人なのだから。すぐさまデリックを訪ね、真相を確かめようとしたエリーは、弟を救いたければ偽装婚約の契約書にサインするよう、逆に迫られる。なぜ婚約者のふりをしなければいけないの?馬鹿げているわ!異議を唱えようと開きかけた唇は、一瞬にしてデリックに奪われ、エリーはまるで魔法にかかったように陶然としてしまい…。