小説むすび | 著者 : マーガレット・ムーア

著者 : マーガレット・ムーア

恋に落ちた騎士恋に落ちた騎士

結婚の“無効”を望む夫を、 愛してはいけないでしょうか……。 アンは珍しい色の瞳をした美しき騎士リースに王宮で声をかけられ、 見知らぬ男性とはいえ、その魅力に抗えず言葉を交わした。 すると、それを見咎めたアンの異母兄がリースを負傷させてしまう。 事態を収めようと国王が命じたのはなんと、アンとリースの結婚。 会ったばかりで夫婦になるなんて! でも、王に逆らうことはできない。 それに、アンにとっては暴君の異母兄から逃れられるだけでなく、 超然として堂々たるリースの妻になると思うと、胸が高鳴るのだった。 ところが、そんなアンの乙女心を知ってか知らずか、 二人きりになると、リースが思いがけない策を打ち明けた。 「結婚したあとでも、床入りしなければ、結婚を無効にできる」 ヒストリカル・ロマンスの大御所マーガレット・ムーアの秀作をお贈りします! 花嫁に提案した秘策を、弟たちや友人にも説明したリースですが、いざアンとの結婚生活が始まると、みずからが思いついた計画と欲望とのあいだで板挟みになり……。

竪琴を奏でる騎士竪琴を奏でる騎士

修道院の窓から覗く外の世界は、 自由だと思っていたのに……。 13年ものあいだ、つらい修道院暮らしをしてきたエリザベスは、 おじがもたらした縁談に心躍らせると同時に不安を覚えた。 食事もろくに与えられず、鞭で叩かれる生活からは逃れたいが、 縁談相手のカークヒーズ卿レイモンは、誰からも恐れられる騎士だった。 しかも、本来嫁ぐはずだった美人のいとこが逃げ出したため、 身代わりに差し出される不器量な自分が受け入れられるかはわからない。 修道院に戻りたくない一心で、エリザベスは彼に懇願したーー よく働く貞淑な妻になります、愛人を持ちたいなら文句は言いません、と。 すると、感情の読み取れない顔で、レイモンがおじに告げた。 「この女と結婚することにした」 レイモンは悪夢のような結婚から、二度と女を愛するつもりはないのですが、跡継ぎをもうける手段を得ることは悪い話ではありませんでした。一方、修道院にいる間、男性を目にしたことすらなかったエリザベスは、彼に触れられただけで心臓が激しく打ち……。

値打ちのない花嫁値打ちのない花嫁

持参金も、まともな服さえもない私に、 値打ちなんてあるはずがないけれど……。 屋敷と財産を賭博で失った父が蒸発し、シーアは独り取り残された。 父は最後にサー・デヴリンなる貴族を相手に大負けして、 彼女の花嫁持参金まで巻き上げられていた。 路頭に迷ったシーアは苦渋の選択でサー・デヴリンの館を訪れ、 切なる願いを申し出たーー私をもらってください、と。 デヴリンは突如現れたみすぼらしい身なりの女性の言葉に驚きつつも、 理想の花婿と見るやつきまとってくる貪欲な令嬢たちを退けられ、 跡継ぎも手に入るなら好都合と、彼女の願いを叶えてやることにする。 半年前に見かけた瞬間から彼に恋していたシーアは舞い上がるが、 初夜を迎えた翌日から、夫は急に冷たく無口になってしまい……。 貧しい姿に隠されたシーアの魅力を見抜き、一度は彼女を妻としたデヴリンでしたが、思うところがあって婚姻無効の申請をしようと心に決めます。そうとは知らないシーアは、情熱的だった次の瞬間には冷たくなるという彼の気まぐれな態度に大いに翻弄されて……。

このエントリーをはてなブックマークに追加
TOP