著者 : ミステリー文学資料館
一九二〇年創刊の「新青年」は、江戸川乱歩をはじめ数多くの作家を輩出した名雑誌であり、初代編集長の森下雨村は日本の探偵小説の生みの親と称される。その雨村が作家として見出した小酒井不木も専門の医学研究に材をとった、すぐれた評論や小説を著し、現代ミステリーの源流となった。この両者の“遺産”ともいえる傑作長短編を収録した読み応え充分の一冊!
純真で無垢な少年の姿は、大人の心を洗い清めてくれるーだが、誰しも少年だったころの昔日を思い返してみれば、他者への憎悪や妬み、邪悪で穢れた心の存在も否定できない。本書は美しくも危険な少年たちの光と闇をテーマにしたミステリーを集めたアンソロジー。かの江戸川乱歩が憧憬する村山槐多の画を巻頭に、推理文壇の名手たちの珠玉の傑作を厳選!
探偵・推理小説の書籍や雑誌を収集保存し、一般読者や研究者が自由に利用できるユニークな図書館、ミステリー文学資料館。本書は“遺産”ともいえるその膨大なコレクションより、大正から昭和初期に本格派探偵小説の旗手として一世を風靡した甲賀三郎のレアな傑作長編と、本格短編の名手として今なお評価の高い大阪圭吉の作品集『死の快走船』を一冊まるごと収録!
『不思議の国のアリス』や『オズの魔法使い』を挙げるまでもなく“少女”が活躍する名作は数多い。成人女性にはない、少女特有の未熟さや危うさ、刹那的な美しさが魅力となり、作品をいっそう引き立てているのかもしれない。ミステリーにおいても少女は格好のテーマで、本書に収録した13の作品に登場する少女たちは、いずれも謎めいた妖しい煌めきを放っている!!
ミステリー文学資料館は、日本の探偵・推理小説の書籍や雑誌を収集保存し、研究者や一般読者の利用に供するために一九九九年四月に開館した。“遺産”ともいえるその膨大なコレクションより、戦前から人気作家として活躍した大下宇陀児と、トリックに執着し続けた楠田匡介のレアな長編二作を選りすぐり、さらには二人の共作も加えた傑作アンソロジー!!
鮎哲の『黒いトランク』や清張の『点と線』の中で、刑事たちは長距離列車に乗って遥かな地へ捜査の旅に赴いていた。その後、交通機関や通信手段の発達で犯罪捜査は大きく変わったが、鉄道の特殊な空間はミステリーの恰好の舞台であり、人々の旅への郷愁はいささかも変わらない。本書はヴァラエティにとんだ名探偵たちの鉄道の旅を八編収録した傑作集!
グラハム・ベルが電話機を発明してから一四〇年の歳月が流れたが、とりわけ、この十数年の進歩は、黒電話からスマホへと、目まぐるしいばかり。ミステリーにおいても電話は、時計やカメラと並んでアリバイ・トリックなどに頻繁に使われてきた重要アイテムである。本書は、そんな電話をテーマにした実力派作家たちのえりすぐりの傑作を収めたアンソロジー!
二〇一五年八月、札幌駅を旅立った「北斗星」の姿を最後に、半世紀以上にもわたるブルートレインの歴史に幕が降りた。旅人たちのさまざまな思いを乗せて北へ南へと列島の夜を疾走した寝台列車は、その空間の密室的状況から、ミステリーの舞台としては恰好の素材であった。本書は“鉄道愛”に溢れるミステリーの名手たちによる逸品を厳選した傑作アンソロジー!
本好きの間では、骨董的価値の高い本を古書、そうでないセコハンのものを古本と呼び分けたりもしますが、本書では個人蔵書、貸本等も含め、新刊書店で売られている以外の書籍を“古書”と称しました。ひとたび指紋のついた本には、往々にドラマがつきまとい、ミステリアスな雰囲気を醸します。そんな謎に充ちた傑作ばかりを収めた好評の推理アンソロジー第三集!
古今東西、書物にまつわる小説は枚挙に遑がないが、近年は、古書を題材にした作品が注目されている。推理文壇の名匠たちが古書への深い知識と卓抜した技巧を凝らして綴った粒揃いの傑作を収録。好評を博した推理アンソロジー第二集!口絵・江戸川乱歩。
江戸川乱歩の名作「D坂の殺人事件」は古本屋の女房殺しを描いたものである。これは乱歩が本郷団子坂で古書店を営んでいた経験が執筆の契機だった。新刊書と違い、複数の人の手を経た本には、持ち主の書き込みや挟み込みがあったり、本自体の来歴にも謎めいた要素が尽きない。そんなミステリアスな古書を題材に、斯界の名手たちが腕をふるった傑作アンソロジー!