小説むすび | 著者 : メッツィ・ヒングル

著者 : メッツィ・ヒングル

記憶の闇のむこう記憶の闇のむこう

終わりなき記憶の闇のなか、 愛だけが光をくれたのに……。 病室で目覚めたとき、クレアはいっさいの記憶を失っていた。 手首の名札で自分の名前だけはわかったものの、 夫と名乗る実業家マットの顔を見ても、何も思い出せない。 強盗に襲われて頭にけがをしたのが原因のようだが、 マットの広大な屋敷に移って看護を受けるうち、順調に快復していった。 魅力的な夫に、快適な生活。けれど、なぜか不安がぬぐえないーー 彼の発言や態度につじつまが合わないところがあるのだ。 それでもクレアはやがて、自分がマットを愛していることに気づく。 正直に愛を告げた彼女に、マットは重い口調で残酷な事実を告げた。 「結婚生活はとっくに破綻して、僕たちは別居していたんだ」 じつは家族を知らずに施設で育ったクレアですが、その記憶さえも失った今、すべてを知るのは夫であるマットだけで……。作者自身、ヒロインと似た境遇の少女時代を過ごしてきただけあって、その分物語に深みが与えられています。切ないすれ違いに涙する大傑作!

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