小説むすび | 著者 : リン・マー

著者 : リン・マー

ブリス・モンタージュブリス・モンタージュ

出版社

白水社

発売日

2025年3月3日 発売

ジャンル

全米批評家協会賞受賞作品 本書は、中国出身の米国作家リン・マーの長篇『断絶』に続く第一短篇集。前作は、移民の女性が米国のミレニアル世代の一員として根無し草的な生活を送るなか、パンデミックとゾンビという物語形式を借りて、グローバル資本主義の制度に組み込まれた人生の虚無感、今世紀の米国社会の空気を巧みに切り取ってみせた。 同様に若い女性を主人公とする本書においても、移民にとっての「ホーム」はどこなのかという問いや、醒めた距離感を保つ一人称の語り口など、マーの作風は前作から連続している。ただし本書では、人間関係における暴力や、存在の孤独という、マーの中核的主題がより前景化され、人と時代に対する鋭い観察眼と、物語を組み立てていく手腕の凄みが際立っている。 本書の評価は非常に高く、〈全米批評家協会賞〉と〈ストーリー・プライズ〉を受賞、『ニューヨーク・タイムズ・ブックレビュー』では、「予測不可能な展開を見せ、読了後も心に残る」と評され、短篇の名手としてもマーの才能を確かなものとしている。「ロサンゼルス」「オフィスアワー」「明日」ほか、不可思議な語り口と冷徹な観察眼が冴える8編を収録。 [目次] ロサンゼルス オレンジ G イエティの愛の交わし方 戻ること オフィスアワー 北京ダック 明日 謝辞 訳者あとがき

断絶断絶

出版社

白水社

発売日

2021年3月26日 発売

ジャンル

〈ニューヨーク公共図書館若獅子賞〉受賞作品  中国が発生源の未知の病「シェン熱」が世界を襲い、感染者はゾンビ化し、死に至る。無人のニューヨークから最後に脱出した中国移民のキャンディスは、生存者のグループに拾われる……生存をかけたその旅路の果ては? 中国系米国作家が放つ、震撼のパンデミック小説!  6歳のとき中国からアメリカに移民したキャンディスは、大学卒業後にニューヨークへとやってくる。出版製作会社に職を得るも、やりがいは見出せない。だがそんな日常は、2011年に「シェン熱」が中国で発生したことで一変する。感染するとゾンビ化し、生活習慣のひとつを繰り返しながら死に至るという奇病で、有効な治療法はない。熱病はニューヨークへも押し寄せる。恋人や同僚をはじめ、人々が脱出していくなか、故郷のない彼女は、社員の去ったオフィスに残る。機能不全に陥った街には、もはや正気を失い息絶えた熱病感染者と自分しかいないーある日、彼女はついにニューヨークを去る決心をする。そして脱出の途上で、ある生存者のグループに拾われ、安全な〈施設〉へ向かうという彼らの仲間に入れてもらうのだが、それはキャンディスにとって、新たな試練の始まりだった……。

このエントリーをはてなブックマークに追加
TOP