著者 : ルーシー・ウッド
寄せては返す、波と幻。 コーンウォールの海辺を舞台に 現実と幻想が静かに混ざりあう、 13の忘れがたき短編 サマセット・モーム賞受賞作 『潜水鐘に乗って』に続く 珠玉の第二短編集 巨大なアンテナ設備の近くにある家で、幼い娘を育てる父親が体験する数々の異変(「アンテナ」)、なにげなく漂着物を砂浜に埋めたことで老夫婦が巻きこまれる思わぬ事態(表題作)、中年になり帰郷した男が振り返る、キャンプ場で姉と過ごした子供時代のあれこれ(「海辺のうた」)……。 海沿いに点在する無人の家、大潮の日にだけ行ける入り江、漂着物が絶えず流れ着く砂浜、さびれたキャンプ場……英国コーンウォールの海辺に見られるありふれた場所では、ふとしたはずみに幻めいた現象が起こり、もの哀しくも美しい物語がいくつも紡がれる。現実と幻想の境目で生まれた、いずれも忘れがたき13の短編を収録。サマセット・モーム賞受賞作『潜水鐘に乗って』に続く、珠玉の第二短編集。解説=石井千湖 ■収録作品 「空っぽの家」 「アンテナ」 「すぐの未来に」 「帰郷」 「出て行け」 「ソルトハウス」 「漂着物、または見捨てられたものたち」 「波乗り」 「嵐の日」 「死者たちの年」 「ケーブル」 「海辺のうた」 「漂流するクラゲたち」
【サマセット・モーム賞受賞作】 【ホリヤー・アン・ゴフ賞受賞作】 そこは、現実と幻がいともたやすく交わる地。 妖精、巨人、精霊、魔犬…… 英国コーンウォールの豊かな伝説を下敷きにした、 ささやかでありながら忘れがたい12の物語 48年ぶりに夫と再会するため、旧式の潜水鐘で海にはいっていく老婦人(表題作)、身体が石になる予兆を感じた女性が過ごす最後の一日(「石の乙女たち」)、やがて巨人になる少年と、人間の少女のなにげない日常のひととき(「巨人の墓場」)、数百年を生き、語るべき話を失いながらも再び物語を紡ごうとする語り部(「語り部(ドロール・テラー)の物語」)…… 妖精、巨人、精霊、願い事をかなえる木、魔犬……さまざまな伝説や伝承がいまなお息づく現代の英国コーンウォール地方を舞台に、現実と幻が交錯する日々をあるがまま受け入れ、つつましく暮らす人々の姿を、新鋭ルーシー・ウッドが繊細かつ瑞々しい筆致で描く12編を収録した短編集。訳者あとがき=木下淳子 ■目次 「潜水鐘に乗って」 「石の乙女たち」 「緑のこびと」 「窓辺の灯り」 「カササギ」 「巨人の墓場」 「浜辺にて」 「精霊たちの家」 「願いがかなう木」 「ミセス・ティボリ」 「魔犬(ウィシット)」 「語り部(ドロール・テラー)の物語」