著者 : レスリー・シモタカハラ
日系カナダ人4世の著者の手による自伝小説(オートフィクション)。本書の著者であり主人公でもあるレスリー・シモタカハラは、名門ブラウン大学で文学博士号を取得、カナダの田舎の大学で文学を講じている。だが、学生から〈史上最悪の教授〉と揶揄され、転職も恋愛も失敗、精神的にひどく追いつめられてトロントの実家へ帰郷。定年退職した父のために作った「リーディングリスト」=読むべき本リストに添って、日系カナダ人としての両親や祖父母の人生をたどり、自分自身の生と死を見つめる日々を送ることになる。 本書は13章から成りたっており、各章のタイトルがすべて、リストの作品名、つまり英米加の文学作品の名前になっている。たとえば、ソロー『森の生活』、ウォートン『歓楽の家』、ジョイス『ダブリナーズ』、ウルフ『ダロウェイ夫人』、ナボコフ『ロリータ』、ハメット『マルタの鷹』など。この13作品はすべて翻訳が出ていて、日本語で読むことができる。 解説・倉本さおり(書評家) 第一章 ヘンリー・デイヴィッド・ソロー『森の生活』 第二章 イーディス・ウォートン『歓楽の家』 第三章 ジェイムズ・ジョイス『ダブリナーズ』 第四章 ヴァージニア・ウルフ『ダロウェイ夫人』 第五章 ウラジーミル・ナボコフ『ロリータ』 第六章 ダシール・ハメット『マルタの鷹』 第七章 ウィリアム・フォークナー『死の床に横たわりて』 第八章 アーネスト・ヘミングウェイ『日はまた昇る』 第九章 ウィラ・キャザー『教授の家』 第十章 マーガレット・アトウッド『浮かびあがる』 第十一章 ラルフ・エリソン『見えない人間』 第十二章 ジョイ・コガワ『失われた祖国』 第十三章 マイケル・オンダーチェ『家族を駆け抜けて』 訳者あとがき 解説 「わたし」の脚注から「あなた」の脚注へ 倉本さおり