著者 : ロス・マクドナルド
象牙色の嘲笑〔新訳版〕象牙色の嘲笑〔新訳版〕
私立探偵リュウ・アーチャーは怪しげな人物からの依頼で、失踪した女を捜しはじめた。ほどなくその女が喉を切り裂かれて殺されているのを発見する。現場には富豪の青年が消息を絶ったことを報じる新聞記事が残されていた。二つの事件に関連はあるのか?全容を解明すべく立ち上がったアーチャーの行く先には恐ろしい暗黒が待ち受けていた…。錯綜する人間の愛憎から浮かび上がる衝撃の結末。巨匠の初期代表作、新訳版。
眠れる美女眠れる美女
流れ出した原油が夜の帳のように広がる海岸で、美しい女が鳥の死骸を抱いて泣いていた。女の名はローレル・ラッソ。原油流出事故を起こした石油王の一人娘だった。海岸で彼女を見かけたアーチャーは、その翳りのある美しさに心魅かれ自分のアパートに連れ帰った。しかし女は、何もいわずに致死量の睡眠薬を持ち出して姿を消した。夫の依頼をとりつけたアーチャーは捜査を開始するが、両親のもとに身代金を要求する脅迫電話がかかってくるにおよび事件は深い傷口をみせはじめた。悲劇にもてあそばれる人間の苦悩を浮きぼりにする巨匠の野心作。
一瞬の敵一瞬の敵
サンディはハイスクールに通うごく普通の少女だった。この夏までは。そのサンディがショットガンを持って家出した。前科者の恋人、デイヴィと一緒に違いないので連れ戻してほしいとのサンディの両親の依頼を受け、アーチャーは、デイヴィのアパートを訪ねた。だがサンディとディヴィはアーチャーのすきをつき、ショットガンを手に姿をくらましてしまった。あとには、サンディの父の雇主ハケットの広大な地所を示す地図が残されていた。2人の狙いは何か?事件を追うアーチャーが見た、富めるものと貧しき家族の生んだ悲劇を描く円熟期の異色作。
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