著者 : ロ-レンス・ブロック
タイトなジーンズに男ものの白いドレス・シャツ、茶色の髪をポニー・テールに結い大人の色香を漂わせた女性は、バーニイに手紙を盗んでほしいともちかけてきた。これまで正体を隠し続けてきた著名な作家が、正体を暴かれかねない手紙が競売にかけられるのを阻止したいというのだ。女性の魅力に参り依頼を引き受けたバーニイは、手紙の所有者の住むホテルの部屋に忍びこんだ。ところがそこで彼が見つけたのは、こともあろうに他殺死体だった…またもや自分の潔白を証明するために才能を発揮する羽目におちいった泥棒バーニイの華麗な名推理。
バーニイが経営する「バーネガット書店」でのある日。カウンターのバーニイが目をあげるとハンフリー・ボガートに関する本を差しだしている絶世の美女が立っていた。一目惚れしたバーニイとその美女イローナは、ボガートの話題で意気投合し、その夜から十五夜連続でボガート主演映画を上映する映画館に通うことになった。ポップコーンを分かちあいスクリーンに魅せられるふたり-でも、もちろんバーニイは泥棒稼業を忘れてやいません。キャンドルマスという変な名前の男に依頼されある高級アパートメントに書類鞄を盗みに忍びこみますが…。
泥棒稼業の隠れ蓑のつもので始めた古本屋がすっかり軌道に乗り、今では本屋の主人としてまっとうな暮らしを送っているバーニイ。気づいてみればもうかれこれ一年近くも夜のお勤めとはご無沙汰だ。ところが、店の新しい大家が法外な家賃をふっかけてきたものだから、バーニイは家賃の値上げ分を捻出するためにやむにやまれず泥棒稼業に逆戻りすることになった。首尾よくウェスト・サイドのとある高級アパートメントに忍び込んだまではよかったが、浴室で素っ裸の男の死体を発見。そのうえ、まったく身に覚えのない高価な野球カード・コレクションを盗んだ疑いまでかけられてしまったのだからたまらない。かくなるうえは野球カードを取り戻して身の潔白を証明するしかない!ある時は鮮やかな手並みの泥棒紳士。またある時は華麗な推理の名探偵-マンハッタンの小粋な快盗バーニイ・ローデンバーが十年ぶりに帰ってきた、最高の話題作。
拳銃自殺を図って失敗したマデリンは、偶然に殺してしまった若い娘の身代りとなって生きることを決意し、娘の過去をさぐっていく…。サスペンス派の巨匠ウールリッチが1968年に他界したとき、四本の未完原稿が発見された。そのうちの一つが本書で、このいかにもウールリッチらしい憎悪と情熱、愛と復讐の物語を、現代ミステリの人気作家ローレンス・ブロックが失われていた冒頭と結末部分を補って完成させ、ついに1987年に出版の運びとなり、話題をよんだ。傑作の呼び声高い幻の遺作長篇の登場である。