著者 : 三国美千子
骨を撫でる骨を撫でる
「人間人間うるさいな」素行が悪うて、金借り倒して。しりぬぐいは全部親や。やってることは人間の屑や。屑以下や。土地と血縁に縛られしぶとくしたたかに生きる者たちの姿を浮き彫りにする表題作と、早熟な子供たちと隣家の謎の少女との性と生の目覚めを、圧倒的筆力で繊細に描き出す「青いポポの果実」を併録。
いかれころいかれころ
大阪南部のある一族に持ち上がった縁談を軸に、わがままな母を甘やかす本家の祖父母、学生運動をしていた婿養子の父、穏やかで優しい精神を病んだ叔母、因襲的な親戚の姿を、河内弁で幼女の視点から鮮やかに描き出す。三島由紀夫賞受賞作にして新潮新人賞受賞の驚くべきデビュー作。
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