著者 : 三好行雄
行人行人
妻お直と弟二郎の仲を疑う一郎は妻を試すために二郎にお直と二人で一つ所へ行って一つ宿に泊ってくれと頼む…。知性の孤独地獄に生き人を信じえぬ一郎は、やがて「死ぬか、気が違うか、それでなければ宗教に入るか」と言い出すのである。
明暗明暗
晩年の漱石は人間のエゴイズムを扱った作品を多く書いた。彼はこれを克服しようとする境地を“則天去私”と名づけているが、『明暗』はその実践といわれる。虚栄心の強いエゴイストの津田、お延の夫婦生活を通し、その暗さから明るさへの転換を描こうとして絶筆となった。漱石の思想的到達点を示す作品。
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