著者 : 三木笙子
「怪盗になる」そう宣言した幼馴染の蓮に仲間として引き入れられ、安西省吾は東京地方裁判所検事局を辞めてともに欧州に渡った。異国で成功した手妻師とそのマネージャーという体裁で帰国した二人は、しばらく日本で休養するはずだったが…蓮は揉め事を起こさないという約束をはぐらかし、次々と不可解な出来事に首を突っ込んでいく。帝国ホテルから一晩で消えた金塊、名家に伝わる嫁入道具をめぐる騒動、すべて一等が出る駄菓子屋の籤の謎ー怪盗ロータスの華麗なる推理綺譚。“帝都探偵絵図”シリーズ、待望のスピンオフ。
将軍直属の情報機関「御庭番」を務めた家で育った探偵、入江明彦。米国帰りの彼は容姿端麗、頭脳明晰ーしかし、完璧すぎるあまり、心を許せる友はいない。横濱に事務所を構え、助手の少年・文弥に世話を焼かれながら暮らしている。訳ありの美青年・ミツと出会った明彦は、犯罪コンサルタント組織『灯台』と対峙することになりー?異国情緒溢れる、明治浪漫ミステリー!
銀座は南紺屋町にある下宿屋「静修館」。若き大家の梨木桃介は無類の世話好きだ。家事万端を見事にこなし美味しい食事を作ってくれる桃介の元を追い出されるわけにはいかぬと、小説家の仙道湧水は我侭を封印して生活している。ある日、湧水は馴染みの記者から粗悪品の醤油を売っている店があるという噂を聞きつける。それは桃介とも縁の深い店だった。桃介の曇った顔は見たくない。湧水は探偵のごとく真相解明に乗り出すのだがー。明治の下宿屋を舞台に贈る、心あたたまるミステリ。
大怪盗ロータスが盗みに失敗した!浅草の高層建築・凌雲閣に飾られた油絵を盗もうとした怪盗は、番人に見つかり絵を置いて逃げたという。一報がもたらされたちょうどそのとき、高広と礼は安西と再会した。ロータスが起こした一連の事件の主任検事となった安西は怪盗の昔馴染みであり、かつて共に駆けた時代があったー。決別した二人が今相まみえる。大好評シリーズ第四弾。
宇宙技術振興推進株式会社ー通称STeP。待宵澄雄の異動先は「竹取班」と呼ばれ、月にまつわる民話や伝承などを扱う部署だ。同僚は桂靖久という青年ひとり。その日、竹取班を訪れた宗像という男は、ある蒐集家から寄贈され保管中の古い洋燈『朧月夜』を譲ってくれと言った。『朧月夜』には、嘘をつくと火が消える、という謂われがあり?恋が醒める特殊素材ストール、月の女神が集う植物園など、月に憑かれた者たちの幻想譚。
時は明治。日本語講師としてイタリアに赴任した誠次郎は、下宿先の料理店で働く美青年・ルカとともに、迷宮都市で起きる様々な怪事件にかかわることになってー?温かくてせつないミステリー。
昭和の新宿。「雨の日だけ営業」と噂される、元神主・水上櫂の探偵社をめぐる物語ー。幼馴染の慎吾が「近ごろ、会社に間違って届く郵便物が多くて、受付の女性が困っている」と櫂に相談した数日後、その女性は失踪して…(表題作)。◎友の死を悼みつづける女の真意を見抜く「沈澄池のほとり」。◎破格の待遇で募集されたカメラマン採用試験の謎に迫る「好条件の求人」など、四作品を収録した連作短篇推理小説。
神隠し伝説が残る田舎の高校に転校してきた徹は、孤高の少年・大地に誘われ廃部寸前の地学部に入る。他人と交わらず天狗と言われて敬遠される大地に徹は惹かれるが、大地には秘密があった。それは不思議な石から人の記憶を読み取る力だ。大地は初めて秘密を徹に打ち明ける。
高広と礼は、怪盗ロータスが起こした一連の窃盗事件の主任検事となっていた安西と再会する。ちょうどその折、ロータスが盗みに失敗したとの一報が舞い込んだ。稀代の怪盗らしからぬ椿事を訝しむ高広は、この件を調べ始める。実は、安西は今ロータスと敵対する立場にあるが、かつて何物にも囚われぬ自由な魂に惹かれ、並んで駆けた時代があった。決別した二人が再び相まみえたとき、検事の選択はー大怪盗の思惑が高広と礼を巻き込み帝都を騒がせる“帝都探偵絵図”シリーズ第四弾。
ある代議士夫人の影が盗まれたー。この不可思議な事件の謎を解いてほしいと養父母の頼みを断りきれず、高広は礼と調査を始める。事件には妖しい爪哇の魔術が絡み、さらに帝都を騒がす怪盗ロータスの気配が…。心優しき雑誌記者と超絶美形の天才絵師、ふたりの青年を中心に、明治の世に生きる人々の姿を描く“帝都探偵絵図”シリーズ第三弾。書き下ろしを含む六篇を収録。
同級生の大地に誘われて地学部に入部した、高校一年生の徹。鉱石の話になると途端に饒舌になる彼と過ごすうちに、徹は大地が持つ不思議な「力」を知ることに。特定の石に触れると、前の所有者の記憶を読むことができるのだ。大地は、同じ力の持ち主である祖父・伝から記憶を受け継ぎ、昔、祖父が親友と交わした、当てのない約束を守り続けていた。話を聞いた徹は、大地を約束から解放したいと願い、ある決意をするー。水晶、瑪瑙、琥珀、翡翠…、鉱物が照らし出す真実とは。
昭和30年代の新宿、珈琲店の二階に住む美しき青年・水上櫂が開いたその探偵社は、「雨の日だけ営業する」そう噂されていたー。櫂のもとに、大家で幼馴染の和田慎吾が「最近、自分の店子の会社で、郵便物の間違いが多くて、応対する受付の女性が困っている」と訪れる。慎吾が櫂に相談した三日後、その女性は失踪して…(表題作)。友人の死を悼む女性の真意を見抜く「沈澄池のほとり」、破格の条件が用意された学生カメラマン採用試験の謎に迫る「好条件の求人」など四作品を収録した連作短篇集。