著者 : 三木雅博
日本にもたらされた中国の漢詩文、それを承けて平安朝の文人たちがつくりあげた日本の漢詩文、一方で万葉以来展開してきた和歌、これらが享受されていく歴史の交差点に成立したのが『和漢朗詠集』である。 本書は『和漢朗詠集』の成立と享受を論じることにより、和の世界が有していた流れと漢の世界からもたらされた流れが交錯し、新しい流れが生み出されていく我が国の文化の創造の過程で現れた、一つの典型的な現象を明らかにしていく。 増補・改訂により待望の復刊。 序文 伊藤正義 増訂版の刊行にあたって 序 『和漢朗詠集』研究史の沿革と本書 第1篇 『和漢朗詠集』の構成 一 『和漢朗詠集』全般の構成ー『古今集』をはじめとする勅撰和歌集との関連においてー 二 『和漢朗詠集』上巻四季部の構成ー先行詞華集との関連においてー 三 『和漢朗詠集』下巻雑部の構成ー先行詞華集との関連においてー 四 『和漢朗詠集』八月十五夜・月部の構成ー都の月・他郷の月ー 五 『和漢朗詠集』の部立「白」に関する考察ー『朗詠集』の構成と周辺の資料からー 六 『和漢朗詠集』帝王・親王・丞相部の所収和歌をめぐってー『古今集』序、同序古注(公任注)とのかかわりを視野においてー 第2篇 『和漢朗詠集』の本文 一 『和漢朗詠集』の享受と諸写本の本文形態の相違 二 『和漢朗詠集』古写本における佳句本文の改変をめぐって 三 『和漢朗詠集』古写本における和歌本文の異同と部立の配列ー春部末の「藤」「躑躅」「款冬」の部立を中心にー 四 『和漢朗詠集』博士家写本の解読ー学的情報としての注記の「読み取り」- 第3篇 『和漢朗詠集』の享受と古注釈 一 院政期における和漢朗詠集注釈の展開ー『朗詠江注』から『和漢朗詠集私注』へー 二 『和漢朗詠集私注』の方法 三 『和漢朗詠集私注』の変貌ー平安末期から室町期にかけての『和漢朗詠集』写本の動向と関連してー 四 鎌倉前期における和漢朗詠集注釈の展開ー『和漢朗詠集私注』から『和漢朗詠集永済注』『和漢朗詠註抄』へー 五 朗詠注における説話 附篇 一 『千載佳句』の部門の構成に関する考察ー冒頭の四時部を対象としてー 二 『和漢朗詠集』所引唐人賦句雑考ー出処と享受の問題を中心にー 索引 事項・書名・人名・題目・詩句・和歌
日本にもたらされた中国の漢詩文、それを承けて平安朝の文人たちがつくりあげた日本の漢詩文、一方で万葉以来展開してきた和歌、これらが享受されていく歴史の交差点に成立したのが『和漢朗詠集』である。 本書は『和漢朗詠集』の成立と享受を論じることにより、和の世界が有していた流れと漢の世界からもたらされた流れが交錯し、新しい流れが生み出されていく我が国の文化の創造の過程で現れた、一つの典型的な現象を明らかにしていく。 増補・改訂により待望の復刊。 序文 伊藤正義 増訂版の刊行にあたって 序 『和漢朗詠集』研究史の沿革と本書 第1篇 『和漢朗詠集』の構成 一 『和漢朗詠集』全般の構成ー『古今集』をはじめとする勅撰和歌集との関連 においてー 二 『和漢朗詠集』上巻四季部の構成ー先行詞華集との関連においてー 三 『和漢朗詠集』下巻雑部の構成ー先行詞華集との関連においてー 四 『和漢朗詠集』八月十五夜・月部の構成ー都の月・他郷の月ー 五 『和漢朗詠集』の部立「白」に関する考察ー『朗詠集』の構成と周辺の資料 からー 六 『和漢朗詠集』帝王・親王・丞相部の所収和歌をめぐってー『古今集』序、 同序古注(公任注)とのかかわりを視野においてー 第2篇 『和漢朗詠集』の本文 一 『和漢朗詠集』の享受と諸写本の本文形態の相違 二 『和漢朗詠集』古写本における佳句本文の改変をめぐって 三 『和漢朗詠集』古写本における和歌本文の異同と部立の配列ー春部末の「藤」 「躑躅」「款冬」の部立を中心にー 四 『和漢朗詠集』博士家写本の解読ー学的情報としての注記の「読み取り」- 第3篇 『和漢朗詠集』の享受と古注釈 一 院政期における和漢朗詠集注釈の展開ー『朗詠江注』から『和漢朗詠集私注』 へー 二 『和漢朗詠集私注』の方法 三 『和漢朗詠集私注』の変貌ー平安末期から室町期にかけての『和漢朗詠集』 写本の動向と関連してー 四 鎌倉前期における和漢朗詠集注釈の展開ー『和漢朗詠集私注』から『和漢朗 詠集永済注』『和漢朗詠註抄』へー 五 朗詠注における説話 附篇 一 『千載佳句』の部門の構成に関する考察ー冒頭の四時部を対象としてー 二 『和漢朗詠集』所引唐人賦句雑考ー出処と享受の問題を中心にー 索引 事項・書名・人名・題目・詩句・和歌
日本文化史、日本政治史に大きな影響を与えた菅原道真。その詩文集である『菅家文草』は、従来その前半の「詩」の部分のみが注釈書として公刊され、儒者の大きな仕事である作文の成果、「文」に関しては纏まった形での注釈書の公刊がなされてこなかった。 そのような状況を受け、最新の日本漢文学・和漢比較文学研究の粋を結集して、『菅家文草』文章の部の全てを注釈する。今後の研究の基盤となる決定版。 第二冊は『菅家文草』巻七に所収される詩序(作文会などで詠作された詩篇に冠せられた散文)を収載。 はじめに 凡 例 序 〈文体解説〉 25 八月十五夜 厳閤尚書授後漢書畢 各詠史 序 26 早春侍内宴 同賦無物不逢春 応製 序 27 仲春釈奠 聴講孝経 同賦資父事君 序 28 九日侍宴 同賦喜晴 応製 序 29 晩冬 過文郎中 翫庭前梅花 序 30 九日侍宴 同賦天錫難老 応製 序 31 早春侍宴 仁寿殿 同賦春暖 応製 序 32 九月尽 同諸弟子白菊叢辺命飲 同勒虚余魚 各加小序 33 早春内宴 侍仁寿殿 同賦春娃無気力 応製序 34 右親衛平亜将率厩局親僕 奉賀大相国五十算宴座右屏風図詩 序 35 閏九月尽日 燈下即事 応製 序 36 三月三日 同賦花時天似酔 応製 序 37 重陽後朝 同賦秋雁櫓声来 応製 序 38 惜残菊 各分一字 応製 序 39 早春観賜宴宮人 同賦催粧 応製 序 40 賦雨夜紗燈 応製 序 41 東宮 秋尽翫菊 応令 序 42 春 惜桜花 応製 序 43 扈従行幸雲林院不勝感歎 聊叙所観 序 44 九日後朝 侍朱雀院 同賦閑居楽秋水 応太上皇製 序 45 三月三日 惜残春 各分一字 応太上皇製 46 未旦求衣賦幷霜菊詩 応製 序 あとがき 注語索引 人名索引
平安朝漢文学は、中・晩唐期の幅広い中国文学を吸収した上で高度な仮名文学と併存するという複雑な状況の下で展開を遂げた。その作品解読も含め面白さを追究した研究論文集。事項・書名・作品名・和歌・人名索引付。