著者 : 三田誠
「さあ、再演の幕が下りる時間だ」。母と娘をつなぐホワイダニットとは?アーサー王復活を悲願とする村で未来を懸けた決死の謎解きが始まる。
「魔眼蒐集列車」での事件が収束するより半年前。グレイの故郷で起きた殺人事件は、未解決のまま現在に至っていた。ライネスから事件直前のあらましを聞いたグレイは、己の過去と向き合うため、再び故郷を訪れる決意を固める。黒い聖母を崇める奇妙な掟で縛られた小さな村に居座る「アトラス院」院長ズェピアにエルメロイ2世が相対したとき、事件は真に変転する。死と生、過去と現在が交錯する第零幕にして第四幕が始まる。
「腑海林の仔」に囚われ停車を余儀なくされた魔眼蒐集列車内では、ヘファイスティオンの宝具で負傷したエルメロイ2世の治療が行われていた。窮地を脱するべく、グレイは代行者カラボー、自称スパイのイヴェット、そして途中乗場したメルヴィンと共に行動を開始する。未来視の魔眼を持つ者を殺した方法、7年前の事件の真相、2世を襲った英霊を召喚した人物。多くの謎を残したまま、ついに魔眼オークションが開催される。
魔眼蒐集列車。それは、欧州の森を今なお走り続ける伝説。盗まれた聖遺物を取り戻すため、列車に乗り込んだエルメロイ2世は、天体科のオルガマリーたちとともに、列車で開催される魔眼オークションに参加することになった。魔術師たちが牽制し合う中、ひとつの悲鳴が響きわたり、殺人事件の発生を告げる。魔眼を欲する者と、魔眼を疎む者。秘中の秘たる『虹』の位階の魔眼。幾多の瞳の見つめる中、第三の事件の幕が開く。
至上の美を体現する、双子の黄金姫と白銀姫。そのお披露目で起きた殺人事件は、アトラム・ガリアスタ、冠位の魔術師・蒼崎橙子の乱入により混迷を極めることとなる。エルメロイ教室の弟子・フラットとスヴィンは師の制止を振り切り、これらに対抗すべく魔術戦を開始する。激しい戦いの中、エルメロイ2世はライネスにかけられた殺人の疑いを晴らすことはできるのか。陰謀と闘争が交錯する美しき殺人劇に、決着の時が迫る。
双貌塔イゼルマに住む究極の美を持つとされる黄金姫・白銀姫。二人のお披露目パーティーに、エルメロイ2世の義妹であるライネス・エルメロイ・アーチゾルテが出席することになった。2世の弟子グレイをボディガードとして伴い、訪れた双貌塔でライネスを待ち受けていたのは、「時計塔」に影響力を持つ三大貴族の派閥抗争と、冠位の魔術師、そして予期せぬ殺人事件だった。魔術と美、幻想と陰謀が交錯する魔術推理劇第二幕。
魔術協会の総本山「時計塔」において、現代魔術科の君主に叙されているエルメロイ2世は、「剥離城アドラ」の遺産相続に立ち会ってほしいと依頼を受ける。内弟子のグレイを伴い城へと向かった2世を待ち受けていたのは、相続のための謎解きだった。招待された高位の魔術師たちにはそれぞれ“天使名”が与えられ、謎を解いた者が遺産を引き継げるという。魔術と神秘、幻想と謎が交錯するとき、悲愴なる事件の幕が上がる。
呪いを招く特殊文化財を専門とする、神祇鑑定人・九鬼隗一郎。就職活動に失敗した夏芽勇作の運命は、彼と出会ったことで、大きく変化してしまった。魔術に傾倒した詩人・イェイツの日本刀、キプロスの死の女神像、豊臣秀吉が愛した月の小面。実在する神祇に触れ、怪奇な謎を解くうち、勇作自身の秘密も引きずり出されてしまう。呪いと骨董と人の想い。相棒が導き出す結末は…!
「えええー、君、記憶ないの!格好いい!」そう言って探偵は道端で、俺を拾った。彼女に付けられた俺の名前は、赤月あお。まるで少女のような探偵の名は、天草しじま。追っているのは、他人に“擬態”することができるという、仮面の怪人・ダンテ…。これは“自分”を失った俺と、困った探偵と、ヒトゴロシの怪人の物語だ。