著者 : 三辺律子
砂漠に囲まれた豊かな都市国家・ズィーラーンに、新しい生活を求めて逃れてきた難民の少年・マリク。心に傷を抱え、後継者でありながら、自国を逃れ、遠くで暮らしたいと願う王女・カリーナ。出会うはずのないふたりが神霊の謀略によって出会うとき、運命が動きはじめるー。西アフリカの神話を下敷きにえがかれる、まったく新しいハイファンタジー!
心が近づくほどに、相手の命を奪うことへの葛藤が深まるマリクとカリーナ。カリーナの願いもむなしく、マリクはソルスタシアの試練に勝ち進んでいく。それは、決断のときが近づいていることを意味していた。惹かれ合うほど、運命は非情さを増していくー。西アフリカの神話を下敷きにえがかれる、まったく新しいハイファンタジー!
人間の医者と呪いにかけられた妖精の王女の恋を描いたおとぎばなしのような表題作ほか、犬と少女の不思議な絆の物語「ロブの飼い主」、お城に住む伯爵夫人対音楽教師のちょっぴりずれた攻防「よこしまな伯爵夫人に音楽を」、独特の皮肉と暖かさが同居する幽霊譚「ハープと自転車のためのソナタ」など、恐ろしくもあり、優しくもある人外たちと人間の関わりをテーマにした短編全10編を収録。ガーディアン賞、エドガー賞を受賞した著者の傑作短編集、第3弾。
知らないなんて、もったいない。見たことのない世界、違う価値観、あとをひく楽しさ。だから、翻訳物はおもしろい。いまこそ手に取りたい169冊。
19世紀のロンドン。スワンズビー社の辞書編纂者ウィンスワースは、日夜ひそかに架空の項目を挿入することで日々の憂いをはらしている。いっぽう現代のスワンズビー社では、インターンであるマロリーが辞書に紛れ込んだ嘘を探しだし取り除く仕事と格闘していたー。言葉の定義に執着しながら定義不可能な現実に振り回される、ふたりの辞書編纂者のひねくれた愛の物語。
中には、見たこともないような鳥がいた。羽根はすべて純金で、目はろうそくの炎のようだ。「わが不死鳥だ」と、獣医は言った。「あまり近づかないようにな。凶暴なのだ」…「ルビーが詰まった脚」。競売で手に入れた書類箱には目に見えない仔犬の幽霊が入っていた。可愛い幽霊犬をめぐる心温まる話…「ハンブルパピー」。ガーディアン賞、エドガー賞受賞の著者による不気味で可愛い作品10編を収めた短編集。
イラン出身の母と白人の父をもつ、ペルシア系アメリカ人のダリウス。家でも学校でも疎外感を覚える彼は、母の故郷ヤズドでソフラーブという少年に出会い…。民族、人種、性的指向、うつ病、多重のアイデンティティに悩む16歳の青春物語。ウィリアム・C・モリス賞受賞。ボストングローブ・ホーンブック賞オナー受賞。Asian/Pacific American Award for Literature受賞。
月のケーキの材料は、桃にブランディにクリーム。タツノオトシゴの粉、グリーングラスツリー・カタツムリ、そして月の満ちる夜につくらなければならない…「月のケーキ」。幼い娘が想像したバームキンを宣伝に使ったスーパーマーケットの社長、だが実体のないバームキンがひとり歩きしてしまい…「バームキンがいちばん!」。ガーディアン賞、エドガー賞受賞の名手による幻想的で奇妙な味わいの13編を収めた短編集。
ある午後、ある村で行方不明になった12歳の少女。村では「儀礼殺人」ではと噂が流れるが、警察は野生動物に襲われたのだと結論づけた。5年後、その村に赴任した若者が、ひょんなことから事件の真相を追うことになる。警察、政治家、実業家、校長、村人、被害者の母…何重にも折り重なった嘘と秘密の先で、彼女が見たものとはー。
中世イングランド、おたずね者となった弓の名手ロビンはシャーウッドの森の奥に隠れ住む。棒術の名人、吟遊詩人、飲んだくれの修道僧など個性豊かな強者たちを仲間に引き入れながら、強欲な役人や聖職者らを相手に痛快な戦いを繰り広げるロビンだが…。著者による挿絵全点収録!イングランドの義賊伝説を元にした痛快活劇。
「ねえ、わたしの話を聞いて…」偶然車に乗せた少女に導かれてマイクが足を踏み入れたのは、子どもだけが葬られている、忘れられた墓地。怯えるマイクの周辺に現れた子どもたちが、彼らの最期の物語を次々と語り始めた。廃病院に写真を撮りにいった少年が最後に見たものは。出来のいい姉に悪魔の鏡を覗くよう仕向けた妹の運命は。ノスタルジー漂うゴーストストーリーの傑作。