著者 : 上木治子
エマは口うるさい雇い主の秘書をしながら、病弱な母の面倒を見、わずかな給金と母の年金で質素に暮らしている。そんな彼女が今いちばん気になっているのは、雇い主のもとに往診に来た魅力的な外科医のワイアット医師。かなり年上だけれど、なんて優しくてすてきな男性なんでしょう!遠出中にエマの母が発作で倒れたときも、一命を取り留めたのは、たまたま会った彼が病院に運び込んで手術をしてくれたからだった。しかし退院して1カ月以上経った頃、母はとうとう帰らぬ人となる。たった一人の肉親を失ったエマのもとに、ワイアット医師が現れ、思いがけない提案をした。「僕と結婚してくれないか?」
年金暮らしの祖父と二人きりで生きるユステイシャは、雑用係として働く病院で、有名外科医のコーリンと出会う。独身貴族の彼は、弟夫婦がしばらく外国へ行っている間、預かっている幼い甥たちをもてあまして、ユステイシャを住み込みの世話係として雇うことに。ところが、弟夫婦が不慮の事故で他界し、状況が一変する。遺言により後見人となったコーリンから子供たちを奪おうと、母方の祖父母がやってきて、不在がちな彼を責めだしたのだ。すると、コーリンの口から思いもよらない言葉が飛びだした。「ご安心くださいーぼくとユステイシャは、まもなく結婚します」
エイスリンは、いつしかウルフガーの孤独の影にひかれていった。父の領土を略奪し、自分を奴隷としてひざまずかせる男からの寵愛。しかし、それは単なる囚われの愛人に対するものではなくなっていた。ふたりの魂は複雑に絡み合い、運命の糸は紡がれていく。身篭ったエイスリンは、その新しい命があの狡猾な男ラグナーの子供ではなく、愛する人のウルフガーの血を引くものであってほしいと望み苦しむ。略奪と愛に、名誉を賭けて激しく戦う騎士たち、愛に揺れ動く美しい女たち-。11世紀のイギリスを舞台に繰り広げられる、壮大なる長編歴史ロマン。
時は1066年。イギリスはノルマン軍の手中に落ちようとしていた。ダーケンウォルドの領主の一人娘エイスリンも、血なまぐさい戦乱に巻き込まれ、父やその部下たちは目の前で惨殺される。エイスリンも、命はたすかったものの、母とともに奴隷という屈辱の身の上にあった。誇り高く、ブロンドの髪とすみれ色の瞳を持つ、美しいエイスリンを、ノルマン軍の略奪の騎士ラグナーは無理矢理に自分のものにしようとする。やがて、新しい領主ウルフガーの入城を知らされる。エイスリンの心は傷つき、激しい憎しみと愛のうねりの中にのみこまれていくのだった。
時は、1066年。イギリスは今まさに、ノルマン軍の手中に落ちようとしていた。ダーケンウォルドの領主の一人娘、エイスリンもまた、血なまぐさい戦乱に巻きこまれた。父や部下たちは目前で惨殺され、自分は母と共に奴隷という屈辱の身の上である。傷ついた心のエイスリンは、はげしい憎しみと愛の中に身を投じていくのだった。
エイスリンは、いつしかウルフガーに魅かれていった。父の領土を略奪した狼の騎士、自分を奴隷としてひざまずかせる男なのに、ふたりの魂は、複雑にからみあい、運命の糸をおりあげていく。はげしい生きざまを闘わせる騎士たち、愛にゆれる美しい女たち-壮大なヒストリカル・ロマンスが今、再び!!