著者 : 両道渡
その時、空から落下してきた巨大な繭が事態を一変させるー城塞都市グランデンで起きた大規模な戦闘は、テオドールらの活躍によって収束したかに見えた。だが、都市西方の上空に生じた次元の裂け目から、不気味な化け物たちが現れる。いち早く現場に駆けつけていたクラリス率いる小隊と、敵国である竜王国から侵入してきた竜騎兵たちは、化け物どもを相手に一時的な共闘を果たす。城塞都市での戦闘を終えた大英雄デュラス将軍が愛馬とともにクラリスたちの元へ駆けつけると、目の前には凄惨な光景が広がっていた。一方、街中で後処理をしていたテオドールは次元の裂け目から現れた存在の気配を察知し、愕然とする。それは遥かな昔、自分の前から忽然と姿を消した盟友サタンのものだった…。
帝国の西方領、城砦都市グランデンで交換留学生としての生活を続けるテオドールたち。そんなある日、戦時中の祖国を憂えて時々うわの空になるロカを元気づけようと、シャウラとリズは、サプライズで彼女の誕生祭を開こうと計画する。一方、テオドールは西方で空間に揺らぎが生じていることに気づく。西方で起きている神殿襲撃事件は収束の気配を見せず、残る神殿はあと2つとなっていた。いまだその犯人の手がかりすら掴めずにいたグランデン軍部に緊張が走る。北方の地からとてつもない数の死者の群れがグランデンへと迫っていたのだ。大英雄クロード・デュラス将軍は城塞都市の防衛に当たるのだが…。
学園生活に退屈していたテオドールの前に色欲の魔王アスモデウスが現れ、西方グランデン領で起きている連続神殿襲撃事件の情報をもたらす。その直後なんの偶然か、テオドールの西方領への留学が決定、他の特待生らと共にそこへ赴くことになる。その道行を、赤く煌めく星々が不気味に照らす。「天高き夜空に紅き星々が瞬く時。それすなわち凶兆なり」。グランデンへと到着した彼らは大英雄クロード・デュラス将軍と会う。魔神を超えるほどの大英雄の威圧感に、戦闘衝動を必死に抑えるテオドール。この地の特待生で現役軍人でもあるクラリスを交え、留学生として平穏に過ごすテオドールたちだったが、裏では奇怪な事件が蠢き、その魔手は着々とグランデン領を侵食していくー。
学園からリズが消えたー。エルフ連続失踪事件との関連性から彼女の行方を探るテオドール。そんな彼の周囲をつきまとう謎めいたエルフの少女。ビアナと名乗るその少女は、軍学校の入学試験を楽々突破したテオドールに憧れを抱いたのだという。魔族とは真逆なビアナの純真さに興味を覚えるテオドール。だが、事態は急変する。エルフの国の女王が、ミルディアナの街に極秘裏に来訪することになったのだ。女王の身に何かあれば、帝国とエルフの同盟関係は崩壊する。学長の依頼から事件解決に乗り出すテオドール。すべては一時の余興のためにー!
圧倒的な力で魔族を支配する世界最強の魔王ルシファー。討伐に来た天使や女勇者を手籠めにして妻とし、食う・ヤる・寝るだけの怠惰な生活を続けていた。最後に勇者がやってきてから五百年が経過したある日、魔王の血の中に眠る破壊衝動が強敵を求めてうずきだす。「なぜ勇者は私を討伐しにこないのか、実にけしからん!」人間の少年に姿を変えたルシファーは、勇者育成機関の現状を探るためエルベリア帝国へ。入学試験における“剣術・体術・魔術”の三科目をあっさりと主席で突破したルシファーは、早々に学園中の注目を集めてしまう…。世界最強の魔王の学園ライフ、始まる。