著者 : 中村仁美
著者自らが深く愛した、珠玉の未邦訳短篇集。とある海辺の町を舞台に、複数の語りを通して一人の女性の姿を描きだす「夢に遊ぶ者たち」、架空の未来史“ハイニッシュ・サイクル”の1ピースをなす「背き続けて」、勤勉な使用人に主人が与えた意外な試練の顛末を描く、生前最後に発表された短篇「水甕」-。SF・ファンタジーの枠組みを軽やかに超える、ル=グウィンの知られざる魅力に満ちた11篇。
地球を離れて347年目の世代宇宙船《ノア》。巨大な船内では数万人以上の住民が超能力を駆使し、豊かで平穏な生活を営んでいた。だがその陰で、ミンチ状の死体が次々と密かに発見される。義務である出産を終えた都市計画官ハナは、上司を失った捜査官バレンズとともに能力を駆使して事件の真相を追い始める。新鋭が放つ傑作宇宙SF!
“ひき肉”事件の探索は次々と謎を呼ぶーー宇宙船《ノア》を建造し、インプラントや〈能力〉、プラステックやアンプなどの超技術を人類にもたらした異星種族の正体は? かつて地球で起きた災厄とは? そして、居住区の地下にある〈未観測地帯〉には何が存在するのか? 《ノア》ミッションの根幹に迫る謎を解いたとき、明らかになるものとは?
分離戦争まっただなかのインド。サンジーヴの村にも戦火がおよぶ。アニメさながらの巨大ロボットの戦いに、子供も大人も大喝采。ロボット戦士にあこがれて、サンジーヴは都会へと向かうが…「サンジーヴとロボット戦士」、ダンサーのエシャは、レベル二・九という高い知性を持つAIの外交官A・J・ラオに求婚される。怖ろしいまでに魅力的な彼に、エシャはすっかり夢中になるが…。AIと人間との結婚が産みだす悲喜劇を描き、ヒューゴー賞、英国SF協会賞を受賞した「ジンの花嫁」など、猥雑で生命力あふれる近未来のインドを描く連作中短篇7篇を収録。