著者 : 中村啓子
愛しい小悪魔(上)愛しい小悪魔(上)
時はフランス革命のさなか、スペイン人の父とフランス人の母をもつ貴族の娘、マリサは身を守るために、スペインの修道院に身を寄せる。断頭台に消えた母を思い静かな祈りの日を送る彼女のもとに、突如、一通の手紙が舞い込む。マドリッドの父からだ。マリサには思いもよらなかった結婚の勧めだった。自分の選ぶべき道は…。惑うマリサの耳に、あろうことか、その婚約者ペドロの下品な声が聞こえてくる。マリサにとって、運命にただ身を委ねる生き方は耐え難かった。「フランスに帰ろう」マリサはジプシーに姿を変え、修道院を逃げ出すのだった。
愛しい小悪魔(中)愛しい小悪魔(中)
フランスに帰り、叔母エドマに保護され何不自由ない生活に明け暮れるマリサは、フランスの社交界でもその美しさで注目の的となった。命を助けてくれた貴公子フイリップに恋心をつのらせるマリサだったが、スペインから逃げる旅の途中で強引に体を奪った男ドミニックと再開し、無理やり結婚させられてしまう。そのドミニックも今は、マリサを独り残し航海に出かけている。孤独に追い打ちをかけるように辛い流産をしてしまうマリサは、警察長官フーシェの懇願に負け、ロンドンへと旅立つ。反ナポレオン派の情報をつかむために…。
愛しい小悪魔(下)愛しい小悪魔(下)
亡き父の農園を訪ねて、ニューオリンズまできたマリサは、ドミニックと再会する。しかも、その傍には、美しい恋人までいる。仲睦まじいふたりの姿に、マリサは、しつこく言い寄るペドロの求婚を、つい受け入れてしまう。さらにマリサの心を傷つけたのは、かつて死んだと告げられていたドミニックとの子が生きているという事実だった。ドミニックは、子供に会いたいというマリサの願いを聞き入れ彼女をつれ出すと、責めたてるようにマリサを激しく抱き寄せる。フランス、イギリス、アメリカを舞台に革命の嵐に翻弄されるマリサの愛は-。
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