著者 : 中条省平
作品の舞台は、治療法のない疫病「ペスト」に突如襲われ、封鎖されたアルジェリアの都市オラン。終わりなき災厄に見舞われたとき、人はそれにどう向き合うのか?ノーベル賞作家カミュの上質な文章と透徹したまなざしによって描かれる群像劇は、コロナ禍を経験した私たちに多くの示唆を与えてくれる。
赤茶けた髪とそばかすだらけの肌で「にんじん」と呼ばれる少年は、母親や兄姉から心ない仕打ちを受けている。それにもめげず、自分と向き合ったりユーモアを発揮したりしながら日々をやり過ごすうち、少年は成長していく。著者が自身の子供時代を冷徹に見つめて綴った自伝的小説。
美しい従姉アリサに心惹かれるジェローム。二人が相思相愛であることは周りも認めていたが、当のアリサの態度は煮え切らない。そんなとき、アリサの妹ジュリエットから衝撃的な事実を聞かされる…。本当の「愛」とは何か、時代を超えて強烈に問いかけるフランス文学の名作。
引退を決意し、新たな世界を希求する殺し屋に襲いかかるさまざまな組織の罠、そしてかつての仇敵たちー「現代フランス文学の極北」といえるほど、限界まで贅肉をそぎ落とされ張りつめた文体が描く、荒涼たる孤独と絶望のドラマ。ロマン・ノワールの旗手・マンシェットの遺作にして、最高傑作。ピエール・モレル監督により映画化。
殺人事件発生の報せを受けて運河の街にやってきた捜査官ヴァラス。しかし肝心の遺体も犯人も見当たらず、人々の曖昧な証言に右往左往する始末。だが関係者たちの思惑は図らずも「宿命的結末」を招いてしまうのだった。“ヌーヴォー・ロマン”の旗手、ロブ=グリエの代表作。
精神を病み入院していたジュリーは、企業家アルトグに雇われ、彼の甥であるペテールの世話係となる。しかし凶悪な4人組のギャングにペテールともども誘拐されてしまう。ふたりはギャングのアジトから命からがら脱出。殺人と破壊の限りを尽くす、逃亡と追跡劇が始まる。
若い陸軍士官と高貴玲瓏たる美女アルベルトの秘密の逢瀬をまつ戦慄の結末、パリの〈植物園〉の檻の前で、獰猛な豹の鼻面をぴしりと黒手袋で打つ黒衣の女剣士オートクレールの凄絶な半生、みずから娼婦となってスペインの大貴族の夫に復讐を図る麗しき貴婦人シエラ=レオネ公爵夫人…。華麗なバロック的文体で描かれた六篇の数奇な物語を、魅力あふれる新訳でおくる。
大ベストセラーの痛快コミック・ミステリー。苦情処理係を務めるデパートで謎の連続爆破事件が起こり、疑いの目を向けられたマロセーヌ君。かくてはならじと捜査に乗り出すのだが…。