著者 : 乃村波緒
きみが逝くのをここで待ってる 〜札駅西口、カラオケあまや〜きみが逝くのをここで待ってる 〜札駅西口、カラオケあまや〜
彼がいる限り、幸せに生きる権利なんて、自分にはないのだーー。 「あの日」以来、「視える」ようになった和仁が見つけた居場所とは…? 大学進学のため、札幌で一人暮らしを始めた和仁。 新歓コンパで行ったカラオケ店のトイレには、生首が転がっていた。 「お客様、もしかして、視えてます?」話しかけてきたのは店長の花宮。 彼は和仁に、ここで働かないかと勧誘する。 この店は、この世にとどまっている霊を集めて、 あの世に送り出す“実験場"のようなものらしい。 生者のエネルギーに満ちているカラオケのバカ騒ぎが、霊を「成仏」させるとかなんとか…。 花宮ももちろん「視える」人間なのだが、 常に和仁の傍にいる土色の男の霊については詮索してこない。 割高の時給ということもあり、 和仁は、このカラオケ店「あまや」でバイトすることにしたのだがーー。
ナヅルとハルヒヤ 花は煙る、鳥は鳴かないナヅルとハルヒヤ 花は煙る、鳥は鳴かない
花煙草の煙。 それは限りなくやさしい、毒ーー。 毒がなければ生きていけないと言った「先生」についていったナヅル。 彼はなぜ、いま帰ってきたのかーー。生まれ育ったマキヨノで仕事も愛する女性も得て、安定した生活を送るハルヒヤ。 懐かしい友人、ナヅルとの十年ぶりの再会を喜んだものの、彼が「花煙師」になったことを知る。 ナヅルがいない間に、マキヨノでは花煙師の出入りを禁止することが決まったのだ。彼らが作る「花煙草」は、身体に害を与えるという。 複雑な思いでナヅルと接するハルヒヤだったが…。 儚い幻想抒情譚。 2018年ノベル大賞佳作受賞作!
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