著者 : 乾ルカ
この世界を、私はひとりで生きたいーー。わかり合えない母親や、うざいクラスメート。誰とも関わらずひとりで生きたい、人生の“スヌーズ”を続ける相内蒼、高校二年生。その出会いは彼女の進む道を照らしはじめたーー。北の街・札幌を舞台に、臨場感溢れる筆致で激しく記憶と心を揺さぶり、光溢れる傑作青春小説!
卒業後7年ぶりに再会した、北海道立白麗高校3年6組の元クラスメートたち。それは同窓会ではなく、クラス担任だった水野先生の葬儀だった。思いがけず再会した皆は、高校時代の思い出話に花を咲かせる。そして水野が授業中におこした“事件”が切っ掛けで不登校になったクラスメートがいたことを思い出すーー。かつて高校生だったものたちを睨む“過去”。大人になるとはなにか、そして生き直すことは出来るのか。誰もが自分に問いかけた思いを描く、青春群像劇の傑作。
父が病に倒れた。進行は凄まじい速さだった。家族と自分の今までとこれからを考える暇も与えてくれなかった。きっと誰もに訪れる。でも、会えなくなるのはやっぱり寂しい。別れの日を前にした人々の思いが胸を打つ、感動の傑作。
その転校生は、クラス全員を圧倒し、敗北させたーー 夏休み明け、北海道立白麗高校2年8組に、東京からひとりの転校生がやって来た。汐谷美令ーー容姿端麗にして頭脳明晰。完璧な彼女は学校中から注目を集めるが、些細な事からクラスで浮いた存在になってしまう……。学校祭準備で美令と友人となった、クラスで孤高を演じる松島和奈。そして美令が孤立する原因を作ってしまった、クラスのカースト上位である城之内更紗もまた、美令、和奈と深く関わってゆく。それぞれ秘密を抱える三人が向かう先に待つものは、そして美令の「私、神様の見張り番をしているの」という言葉の意味とは……。今、彼女たちの人生で、もっとも濃密な一年が始まったーー。誰もがあの時を思い出す、青春群像劇の傑作! 最高に美しいラストシーンを、ぜひご堪能ください!! 「 今、私がひとりではないことが、奇跡なのだーー」
北海道道立白麗高校・第二十七期卒業生3年6組の元クラスメートたちに、校庭に埋めたタイムカプセルの開封を兼ねて同窓会を開催するはがきが届いた。同窓会SNSも立ち上がり、10年前の高校生活を懐かしみながら盛り上がていく彼ら。しかし、ある日、「岸本李矢という子を覚えていますか」という書き込みが……。爆弾ともいえる書き込みに、ある事実が明らかになっていく。それぞれの思いで苦悩する登場人物たち。新型感染症で変わっていく世界の中、同窓会は近づいていた……。高校時代の「いじめ」に対して、関わった人々の心の移ろいと葛藤を描いたリアルな青春群像劇。
新中学生が極限状態で結んだ友情。そして学んだ“自分で考えて生きる”という力。 大人になって忘れてしまった、他人を思いやる物語。 新中学生の長谷部幸男は憂鬱だった。 自分の集落が都市開発の余波で、地元派とニュータウン派とに分かれてしまったのだ。 新興地の子は洋式便所を自慢し、地元の子は鍵っ子という存在を訝った。 夏休みになると幸男ら両派の男女九人は林間学校に参加した。その晩、突然の土砂崩れが宿舎を飲み込み大人は全員死亡してしまう。 集落には神の山と、天災が絶えない禁忌の山が並ぶのだが、開発派は戒めを無視してそこに建てた。 呆然とする九人は必死に神の山を目指す。闇に怯え難所を越えるなか、お互いを理解し始め……。
川嶋有人は離島の診療所に勤める叔父に憧れ、自らも医師を目指していた。だが、重度のアレルギー発作を起こした転入生を助けようとして失敗し、彼女には障害が残ってしまう。罪悪感と絶望に押しつぶされた有人は、引きこもりの日々を過ごしてきたが、叔父の勧めにより北海道の離島・照羽尻島で暮らすことになる。この島は「海鳥の楽園」と呼ばれていて、高校の全校生徒はたったの5人ー島生まれの誠と涼先輩、有人と同じ“訳あり”で島外から来ている桃花とハル先輩だった。島の生活に戸惑い、時に反発しながらも、有人は徐々に前を向き始める。だが、突然の別れと残酷な真実が降りかかり…。感動が胸を満たす、再生と成長の物語。
大介は札幌に住む小学六年生。自らの鬱憤を晴らすため、隣家に住む謎の老人が育てる痩木の花芽を削いでいた。ところが、夏休みに入るとすぐ、花はひっそりと咲いた。途端、旅支度を始めた老人。慌てた大介は、彼を追い茨城行きのフェリーに乗るも、船酔いに。学校なら囃されるが、自然に介抱してくれた大人たちに、心の殻が破れるのを感じ…。魂を揺さぶる至高の物語。
太平洋戦争末期。敗色濃厚の気配の中、東京から東北の田舎へ集団疎開してきた小学生たち。青い目を持つ美しい少女、六年生の浜野清子もそのひとりだった。その目の色ゆえか、周りに溶け込めない孤独な彼女が出会ったのが、捨て子で疎開先の寺の養女、那須野リツ。野山を駆け巡る少年のような野性を持つリツも、その生い立ちと負けん気の強さから「山犬」と揶揄される孤独な少女だった。だが、それは「海」と「山」という絶対に相容れない宿命の出会い。理由もなくお互いを嫌悪するふたりだが、ひとりの青年をめぐり、次第に接近してゆく…。これは、戦争という巨大で悲劇的な対立世界を背景に、血の呪縛に抗い、自らの未来を変えようとした、ふたりの少女の切ない物語。
城石明音は先天性の心疾患を患っていた。8歳の時に病状が悪化し、両親は渡米しての心臓移植手術を決断する。しかし、そのためには1億5千万円という莫大な費用が必要だった。懸命の募金活動の末、募金額は目標額を超え、明音はチャーター機でアメリカに渡った。幸いドナーも見つかり、手術も無事に成功し、明音は一命を取り留めた。誰もが明音の生を祝福しているかのようだった。このときまではー。募金活動と心臓移植手術によって命を救われた少女・城石明音の半生を、教師、同級生、夫など周囲の人間の目を通して描いた、骨太の人間ドラマ!!
部員の私的な不祥事で廃部寸前の樽大野球部。名ばかり主将の森、「しょせん私たちは…」が口癖のマネージャー苗穂、お人好しの恵山、加齢なる36歳新人砂原ら残党部員に突き付けられた部存続の条件は、名門・道大とのカレー作り対決?!ヤル気も希望もゼロの4人が一念発起?!読めば腹ペコな青春小説!庫書き下ろし。
中辻恵麻がH大学生部から無理矢理に紹介された、大型複合商業施設の忘れ物センターー届けられる忘れ物を整理し、引き取りに来る人に対応するーでのアルバイト。引っ込み思案で目立たない、透明なセロファンのような存在の私に、この仕事を紹介したのはなぜ?なぜこんな他愛のない物を引き取りに来るの?忘れ物の品々とその持ち主との出会い、センターのスタッフとの交流の中で、少しずつ心の成長を遂げる恵麻だがー。六つの忘れ物を巡って描かれる、じんわりと心に染みる連作集。
アルバイトスタッフリーダーの田中を正社員にしたい。過去二回の打診を、田中は丁重に断ってきた。彼の仕事ぶりは申し分なく、アルバイトのままだと、よそに引き抜かれてしまうかもしれない。何度も断るのは、何か事情があるのか。他のスタッフの意見も聞いてみようか。まずは誰に聞いてみるかな…。(「夜の鶴」)。七つの“ことば”から生まれた奇妙な物語。
私が生きていることに、意味はあるのかな。かつて自分をかばって姉を失った高校2年生の優香は、乗り込んだ修学旅行の飛行機でハイジャック事件に遭遇する。飛行機は不時着するが、生き残った乗客はわずかに5人。テロ事件の犯人は、見慣れない青い花を身につけた4人の美青年だった。謎を秘めたまま迫りくる彼らと対峙して、生きることに無気力だった優香は変わりはじめるー。少女が未来を切り拓く、鮮烈なSFサスペンス。
未練を残して死んだ者は鬼となり、水源を涸らし村を滅ぼすー。鬼の未練の原因を突き止めて解消し、常世に送れるのは、八尾一族の「烏目役」と「水守」ただ二人のみ。大正12年、H帝国大学に通う八尾清次郎に、烏目役の従敬が死んだと報せが届いた。新たな烏目役として村を訪ねた清次郎。そこで出会った美しい水守と、過酷な運命に晒される清次郎を描く、深愛に満ちた連作集。
まるで時の女神がうっかり回収し忘れたような。北の大地の片隅に、ぽつんとたたずむ中学分校には、一年生四人と三年生一人が学んでいた。たった五人でも、自称霊感少女もいれば嘘つきな少年もいる。そこに赴任してきたのは、やる気皆無の若い教師。けれど、やがて彼が知ることになる少年の嘘の痛ましいわけとは?ころびながら、くじけながら明日を探す、五人の青い魂の物語。
札幌で暮らす小学六年生の瀬川大介には、自らの鬱屈を晴らす、ささやかな楽しみがあった。それは隣家に住む、指が二本ない謎の老人佐藤北海が見守る貧弱な樹がつける花芽を削り取ること。開花を待つ北海の喜びを奪うことで、不満を溜めた老人が“暴発”することを願っていた。だが、夏休みに入ったある日、大介の油断を衝いてその樹が白い花を咲かせる。それを見た北海は突如ボストンバッグを抱えて旅に出発、両親と喧嘩して家出をするつもりだった大介は、急遽彼を追うことに…。一人の少年の好奇心と冒険心が生んだ心に沁みわたる感動の物語。