著者 : 乾石智子
“月影ノ乙女”は、“月ノ獣”を身の内に住まわせている。それはことあるごとに、人は独りで生まれて独りで生き、独りで死んでいくのだと囁くのだ…。精霊の恵み深き国ハスティア。ジルは幼い頃から卓越した魔法の力を発揮し、国に仕える魔法師となった。だが、平和で豊かな国ハスティアを虎視耽々と狙う者がいた。竜に変じる王を戴くドリドラヴの侵略を受け、戦火に踏みにじられるハスティアの町々。掟によって魔法での攻撃を禁じられているフォーリたちは苦悩を深める。無辜の民の命を救うためにジルたちの選んだ道は…。『夜の写本師』でデビューした異世界ファンタジイの紡ぎ手が今放つ渾身の大作。
“久遠の島”、そこは世界中のあらゆる書物を見ることができ、本を愛する人のみが入ることを許される魔法の楽園だ。だが、人の悪意が楽園に悲劇をもたらす…。連合王国フォト、呪法の国マードラ、写本の都パドゥキアを舞台にした、デビュー作『夜の写本師』へと連なる“オーリエラントの魔道師”シリーズ最新作登場!
国母イスランにその才を見出された大魔道師ヴュルナイ。いまわのきわのイスランに国の行く末を託されたものの、後継者となった王族たちの争いで裏切りにあい、その名声も地に墜ちた。それから数十年、国の中枢には欲にまみれた連中がはびこり、存亡の危機に。密かにオーヴァイディンと名を変えて生きていたヴュルナイは、無実の罪で捕らえられた若い女族長を助けるが…。これまで謎のヴェールに包まれていた、魔道帝国イスリル中興の祖を描く“オーリエラントの魔道師”シリーズ最新作。
北国カーランディア。建国以来、土着の民カーランド人と征服民アアランド人が、平穏に暮らしてきた。だが現王のカーランド人大虐殺で、見せかけの平和は消え去った。娘夫婦を殺された大魔法使いが平和の象徴の鐘を打ち砕き、闇を解き放ったのだ。封じることができるのは、古の“魔が歌”のみ。著者が長年温めてきたテーマを圧倒的なスケールで描いた、日本ファンタジイの金字塔。
ハルラント聖王国の最西端“西ノ庄”の少女エヤアルは幼少のとき、魔法を暴走させて災厄を招き、“炎の鳥”に魔法を奪われた。成長した彼女は労働力として砦に連行されるが、そのとき、あらゆる物事を記憶する力に突如目覚める。彼女の力をめぐって動き出す陰謀と過酷な運命。エヤアルがもたらすのは平和か破滅か…。日本ファンタジーの旗手の新境地。
東西の交易の中心として栄えるオアシス国家リオラン。ある日、アラバスをはじめとする3人の王子は、美貌の第二王妃カトラッカとその腹心エスクリダオにそそのかされ、この世を統べる力があるという“竜鏡”を探す旅に出る。しかし、それは世継ぎを追い出し、すべての権力を手中に収めようとする王妃らの陰謀であった。アラバスらは無事に国を救うことができるのか。魔法が飛び交い、陰謀が渦を巻く、東方異世界ファンタジー。
悪意に満ちたイスリルの魔道師に呼び覚まされた邪悪な魂と、元コンスル帝国軍人率いる侵略軍。まさしく前門の虎、後門の狼状態で追いつめられたリクエンシスたちは、トゥーラの暮らすオルン村に難を逃れた。村で冬を越しながら、“星読み”のトゥーラ、元拝月教の巫女エミラーダ、知恵者のリコに、ウィダチスの魔道師エイリャも加わり、千五百年前にかけられた呪いを解く方法を探す。そこで浮かび上がったのは、オルン魔国最後の女王の秘められた真の姿だった。シリーズ屈指の人気を誇る魔道師リクエンシスが千五百年前に滅んだ魔女国の呪いに挑む、好評三部作第二弾!
紐結びの魔道師リクエンシスの平穏を破ったのは、隣国イスリル軍の襲来だった。イスリルでしばらくつづいた内乱が平定されたので、コンスル帝国の凋落をよいことに侵攻してきたのだろう。イスリル軍の先発隊といえば、魔道師軍団。下手に逆らわぬほうがいいと、リクエンシスは相棒と共に、慣れ親しんだ湖館を捨て逃げだした。ほとぼりが冷めるまでどこかに身を寄せていればいい。だが悪意に満ちたイスリル軍の魔道師が、館の裏手に眠る邪悪な魂を呼び覚ました…。“オーリエラントの魔道師”シリーズ屈指の人気を誇る魔道師リクエンシスが自らの内なる闇と対決する、待望の三部作開幕!
その力、使えばおのれが滅び、使わねば国が滅びよう。人の感情から石を創るたぐい稀な才をもつが故に、故国を滅ぼし家族を殺した憎い敵に仕えることになった創石師ナイトゥル。生きる気力をなくし、言われるまま創石師の仕事をしていた彼に、ある日怪我人の傷から取り出した黒い水晶が見知らぬ国の幻を見せた。“オーリエラントの魔道師”シリーズで人気の著者が描く壮大な物語。
火の時代、絶望の時代が近づいている。戦が始まる。穏やかな日々は吹き払われ、人々は踏み潰される。予言者が火の時代と呼んだそのさなか、いまだ無垢である“風森村”に、“風の息子”は生をうけた。だが、“長い影の男”がやってきたときすべてが変わった。天と地のあいだ、オルリアエントの黎明の時代を描く、大人気ファンタジー“オーリエラントの魔道師”シリーズ始まりの書。
紐結びの魔道師リクエンシス。紐をさまざまに結ぶことで、幸福をからめとるかと思えば、巧みに罠をしかけもする。あるときは腹に一物ある貴石占術師を煙に巻き、あるときは炎と大地の化け物退治に加勢し、またあるときはわがままな相棒の命を救わんとし、果ては写本の国パドゥキア目指し砂漠を横断する。コンスル帝国衰退の時代、紐結びの魔道師の活躍を描く好評シリーズ最新作。
注文を受けて粘土をこね、魔法を込めた焼き物に焼く「陶工魔道師」、女たちの密かな魔法組織を描く「闇を抱く」、死体を用いる姿なきプアダンの魔道師の復讐譚「黒蓮華」、そして魔道ならざる魔道を操るもうひとりの“夜の写本師”の物語「魔道写本師」。四つの異なる魔法を操る魔道師たちの物語を収録。単行本収録作の一篇をさしかえて贈る、著者の人気シリーズ初の短篇集文庫化。
隣国と長い戦争を続けるハルラント聖王国の最西端“西ノ庄”の少女エヤアルは5歳のとき、魔法を暴走させて災厄を招き“炎の鳥”に魔法を奪われる。8年後、徴兵吏によって砦に連行された彼女の中で不思議な力が目を覚ました。公明正大な国王ペリフェ3世、その弟で火炎神殿騎士の美丈夫カロル、謎の予言者ニバー…、エヤアルの“力”をめぐって世界に戦火をもたらす陰謀が動き出す。日本ファンタジーの旗手が壮大なスケールで描く、過酷な運命に挑む少女の物語。
マンハッタンで生まれ育ったシエラは、幼いころに兄を亡くし、母親との確執に苦しんでいる孤独な少女。憎しみと罪悪感の蜥蜴を胸に棲まわせている彼女は、不思議な老婆にトルコ石を授けられる。老婆は石に想いを込めることによって力を得る世界、ヴェレスの住人だった。これは、一人の少女が世界を知る物語ー。
コンスル帝国の最北西の村に住むデイスは十六歳、村の外に捨てられていたところを拾われ、両親と姉に慈しまれて育った。ある日彼は土の中に半分埋まった肩留めを拾う。“太陽の石”と呼ばれる鮮緑の宝石。これは自分に属するものだ、一目でデイスは悟る。だが、それが眠れる魔道師を目覚めさせることに。デビュー作『夜の写本師』で読書界に旋風を起こした著者のシリーズ第三弾。
伝説の獣サルヴィの角に支えられた王国(緑の凍土)では、新たな角を持ち帰ることが次王の証とされていた。災厄に疲弊した王国で後継者争いが起きるなか、王子ディアスは異母兄オブンの奸計により故郷から追放されてしまう。絶望した彼は、夢に出てきたサルヴィが歌った地(赤き海)へ向かう。その旅路は、ディアスが運命を受けいれ、王国の未来を選択するための試練でもあった。『夜の写本師』の著者が描く新たな傑作登場。
かつて魔法使いが月を引き下ろして創った王国“緑の凍土”。極寒の地で唯一豊穣の恵みを享受するその国を支えるのは、伝説の鹿サルヴィの角。それが崩れるたび、王国は災厄に見舞われてきた。王子でありながら家臣に育てられた少年ディアスは、そこで王位継承争いとは無縁の穏やかな日々をおくっていた。しかし異母兄オブンの奸計により、突如故郷から追放されてしまう。同じ頃、姪であり幼馴染みのアンローサにも危機が迫っていた。角の崩壊に怯え、度重なる危機に疲弊した王国、そしてディアスとアンローサが窮地に立たされたとき、彼らの選択が未来を切り拓くー。
一世代に一人だけ現れるという、「創石師」のナイトゥル。人の感情を靄に見て両手のひらに包めば石を創ることができるという稀有な魔力を持ちながら、隣の部族の侵攻によって、家族や婚約者、血族のすべてを失い、恨みや憎しみといった感情までも奪われ、敵のために自らの命を削ってその力を使う日々を送っていた。だが、闇色に七色の虹をちりばめた水晶を手にした日から、その運命は急激にまわりはじめるー。