著者 : 二階堂黎人
『人狼城』は独仏の国境の峻嶮な渓谷の上に屹立する古城。城主を「人狼」に惨殺されたという言い伝えのある曰く付きの城だ。1970年西独の製薬会社が10名の客をこの城に招待した。長い間、人が近づくのを峻拒してきた城に滞在しはじめた人々の上に、伝説を地でいくような、身の毛もよだつ殺人事件が起きた-。
ニュー・ヒロー誕生-名は水乃紗杜留。常識的な人のあいだでは、奇人・変人扱いされる二十八歳、独身の美男子である。旅行代理店課長代理で、七歳下の美並由加理と仕事の帰り『あさま38号』に乗って軽井沢まできたところ、事故で列車が遅延。友人の熊田夫婦が経営するペンションに、由加理と泊ることになる。そこで由加理は熊田夫婦から、これまでのサトルの名(迷)探偵ぶりをきかされ、彼に多大な興味(以上)を持つ。翌朝、二人は軽井沢に住む高名な小説家の変死事件にまきこまれ、サトルの出番となるが…。
バイカル湖の近くの氷原に建つ《吹雪の館》が忽然と消える家屋消失トリックの佳品「ロシア館の謎」。欧米では日本の麻雀と同じほどポピュラーな遊びであるコントラクトブリッジのパーティという衆人環視の中での殺人に挑んだ長編書下ろしの力作「劇薬」。名探偵二階堂蘭子の推理が冴える初の作品集。
〈十字架屋敷〉と呼ばれる、実業家の広壮な邸宅に、エジプトのミイラのように顔中に包帯を巻いた、異様な風体の男が出没した。復讐のため地獄から戻ってきた〈地獄の奇術師〉と自ら名乗り、十字架屋敷に住む暮林一族を皆殺しにすると予告した-。名探偵二階堂蘭子誕生の妖気漂う本格探偵小説。
野尻湖畔に屹立する修道院の塔上に発生した、二つの密室殺人。咲き乱れる満開の桜の枝に、裸で逆さ吊りにされた神父の首なし死体。不可解な暗号文。ヨハネ黙示録に見立てた連続殺人。名探偵・二階堂蘭子が超絶推理の果てに探りあてた、地下迷路の奥深くに埋もれた文書庫。ついに暴かれる禁断の真実とは。