著者 : 五代ゆう
幾多の試練を乗り越え、ついにグインは、パロの首都、クリスタルにたどりついた。おぞましき竜騎兵の襲撃によって、かつての壮麗な大都市は不気味に荒廃してしまっていた。フェリシアに導かれるように、クリスタル・パレスに潜入するグインの前に現われた者は、かつて激動の中で命を落とした伝説の麗人、神聖パロ王国初代聖王ーアルド・ナリス、その人であった!いくつもの物語が、魔道の都に収斂し大きな運命の流れに。
イシュトヴァーン不在のイシュタールから拉致されたドリアンを救い出すべくスーティは、グラチウスの力を借りて、アストリアスらの一団に迫っていた。“新しきミロク”の忌まわしい支配を逃れたヤガからは、スカール、ブラン、ヨナ、フロリーが、それぞれの目的へ向かって旅立ってゆく。そしてグインは、リギアやアルテが捕らわれていたワルスタット城を制したのち、ついに謎の存在に支配される混迷の都、クリスタルへ!
犯罪の現場を目撃したスーティは、大きな衝撃を抑えることができず、スカールの言いつけにそむいて危険な一歩を踏み出すことに?その頃ヤガではスーティの身を案じつつスカールが、そしてブランが忌まわしい支配に対抗すべく行動を起こそうとしていた。一方、ドライドン騎士団の一行は、沿海州付近に漂う不穏な雰囲気を感じながら、病身のヴァレリウスをともない、カメロンの遺骨とともに故郷ヴァラキアに帰還するのだった。
“新しきミロク”が実行したミロクの降臨という一大事は、ヤガとその周辺を震撼させる。ヤガの人々は中空に出現した巨大なミロクの姿に熱狂し、町は大混乱に陥る。その頃ブランは、ババヤガとイグ=ソッグの助力を得て、ジャミーラたち“ミロクの使徒”と戦ってフロリーを助け、イェライシャはヨナを救いだし、スカールは黄昏の国を後にして、ザザ、ウーラとともにスーティを連れて、新たなる波乱のヤガを目指していた。
“新しきミロク”が密かに勢力拡大をたくらむヤガで、かつて魔道師であった“ミロクの使徒”たちのたくらみによって神殿の最下層に追い込まれたブランだが、ソラ・ウィンとヤモイ・シンという二人のミロクの老僧に出会い、その恐るべき法力に接して反撃の糸口をつかむ。さらに思いがけず人間でないものの助力を得ることができたことで、拉致されたフロリーとヨナを救うべくブランの想像を絶する戦いが、ついに始まった!
黄昏の国の女王である大鴉のザザとノスフェラスの狼王ウーラに導かれ、スカールとスーティは黄昏の道をゆく旅人となった。リー・ファの幻影に心魅かれつつもたどり着いたのは、魔都フェラーラ。キタイの首都だったこの都市には、異形の女王リリト・デアが治めるアウラ・シャーの神殿がある。しかし今やかつての繁栄はなく、街はさびれ、住民はキタイ兵の侵略に恐れおののくばかり。見かねたスカールは助力に乗り出すのだが。
商業都市ハイ・キレセスで“詞”の力を操る“骨牌使い”として生きる少女アトリ。彼女は偶然出会った青年ロナーを占うが、彼が引いたのは滅多に選ばれない死と破滅を示す凶札だった。その直後、異形の怪物に襲撃されたアトリは、ロナーに導かれて王国ハイランドの王都へ逃れる。彼曰く、アトリは創世の時に語られた幻の十三番目の“骨牌”であり、反逆者“異言”に狙われているらしい。少女の運命は急速に動き出していた。
ハイランドの賢王は病に侵され、刻一刻と死へ近づいていた。“骨牌”を宿さぬゆえ兄である王を救えぬと悔いる王子ロナー、望まぬ“骨牌”を宿したアトリ。国を救おうと奔走するふたりは、千年の時を超えて隠されてきた“詞”の真実を知る。一方、“異言の王”は災厄で美しい街々を破壊し、その軍勢は王都を滅ぼさんとすぐそばまで迫っていたー“詞”に選ばれし少女の数奇な運命を描いた、日本ハイ・ファンタジイの金字塔。
イグ・ソッグの体をもってヤガの神殿に潜入したブランは、その深奥でおのれの眼を疑うような、ミロクの神秘を体験する。一方、クリスタルの災厄から逃れたリギアたちに迫る不吉な足音の正体は?そしていまだクリスタルに居座るイシュトヴァーンを諌めるためにやってきた、宰相カメロンに襲いかかる忌まわしき敵とは?さらに一方、スーティとスカールの、黄昏の道を往く旅の行方に待つものは?謎が謎を誘う幻惑の物語。
ヤガを脱出しようとして捕らわれの身となったフロリーが、見知らぬ場所で目を覚ますーグイン・サーガ130巻『見知らぬ明日』はそんなシーンで幕を閉じました。そしてそれは栗本薫によるグイン・サーガの最後の場面でもありました。しかし今、途絶したその場所から物語が動きはじめます!“新しきミロク”に捕らわれたフロリーとヨナを救出すべく、スカールが、ブランが、イェライシャが、ヤガの神秘の深奥にいどむ!
聖女王リンダをめぐって暗躍する、殺戮王イシュトヴァーンが、パロに恐るべき喧騒を巻き起こす。イシュトヴァーンは、女王リンダへの求婚をいったんあきらめ、フロリーを追ってヤガへと軍を進める。しかしそれは見せかけで、魔道師による追跡の目をあざむいてパロへ戻り、身分を隠してクリスタルへ侵入するのだった。しかしヴァレリウスは対抗手段を講じていた。世界最大最高のファンタジイ・ロマン、満を持してここに再開幕!