小説むすび | 著者 : 井上碧

著者 : 井上碧

生きかえった花嫁生きかえった花嫁

記憶を失った娘を導くものは、 初めて心に芽生えた、愛だった。 こんな寂れた路傍に、古ぎれのように行き倒れた女が……。 爵位や本名をゆえあって隠して暮らしている騎士のウィリアムは、 今にも息絶えそうな女性を捨て置けず、私宅へ運んで看護した。 3週間後、ようやく意識を取り戻した彼女は、 自分を介抱する男らしい彼をひたと見つめ、弱々しく口を開いた。 「あなたは誰? 誰なの……わたしは?」 ウィリアムは名も生い立ちもわからぬ彼女を“イザベル”と名づけ、 白魚のような指を見て、高貴な生まれかもしれないと考えた。 そしてある日、イザベルが発した言葉に、彼は思わず息をのんだーー 「その振る舞いや話し方。あなたはまぎれもなく爵位を授けられた人ね」 妹の命を守るため、ウィリアムはこの3年間、地位や特権を持つ騎士の爵位を隠し、風貌も変えて暮らしてきました。そんな彼の秘密を言い当てたイザベルの出自もまた、気になるところですが……?素性のわからない者同士、心と心が惹かれ合う、記憶喪失ロマンス。

赤毛の貴婦人赤毛の貴婦人

初めて会った美貌の許婚は、 世にも傲慢不遜な領主だった。 領主サー・ロジェに嫁ぐマイナは、運悪く大嵐に見舞われ、 やっとのことで許婚の待つ城に到着した。 だが、彼女はずぶ濡れだというのに、ロジェは出迎えさえしないという。 それどころか、花嫁なぞ不要とばかりに始められた祝宴は既にたけなわ。 愕然とするマイナだったが、意を決して大広間に踏み入り、 奥の一段高い場所からこちらを見据える端整な顔の許婚を見つけた。 そして精いっぱい反抗的な挨拶をして、部屋に引き上げた。 するとしばらくして、ロジェがマイナの寝室を訪れ、 彼女の先ほどの態度を戒めるため、冷徹に釘を刺した。 「わたしの妻となる者に許されるのは、“服従”だけだ」 赤毛は嫌いと公言する傲慢なサー・ロジェ。一方、赤毛のマイナは、彼の予想に違わず芯の強い娘ですが、婚礼の前夜、彼女はロジェが初夜に関して談笑しているのを漏れ聞いてしまい……。すれ違いがすれ違いを呼ぶ波瀾万丈の愛の物語を初リバイバルでお届けします。

伯爵の華麗なる復讐伯爵の華麗なる復讐

沈黙の乙女を拾った冷酷な伯爵。 数奇な運命と切ない愛が交錯しーー アンボーン伯爵は旅先で、囚われの娘を買い取った。 かわいい従妹をたぶらかして捨てた男への意趣返しの道具として。 まったく口をきかないその娘をパーディタと名づけると、 領地に連れ帰って、さっそくレディ教育を開始した。 出会ったときには痩せ衰えていた彼女は今やすっかり回復したが、 依然として言葉を発しないうえに、反抗的な態度を見せている。 伯爵はいらだちを禁じえなかったーーパーディタに、そして、 彼女の美しい顔、魅力的な瞳、恍惚とさせる唇に気づいた自分に。 ある夜、とうとうキスに及びながら、彼は悪魔のようにささやいた。 「だが、わたしはおまえのすべてを軽蔑している」 じつは上流社会で生まれ育った令嬢のヒロイン。そうとは知らず、レディ教育を施すうち、憂愁の調べを奏で、優雅にワルツを踊ってみせる彼女に、伯爵はなすすべもなく惹かれていきます。心を閉ざした囚われの美女と冷たき伯爵の、切なくも絢爛豪華な恋絵巻!

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