著者 : 仲本ヒロコ
暗闇のエンジェル暗闇のエンジェル
ウエディング・ドレスの仮縫いの最中、ふいに玄関のベルが鳴る。脳腫瘍の手術を終え、結婚を間近に控えたヘレンが扉を開けると、そこには婚約者の兄、精悍な印象のアレグザンダーが佇んでいた。目が合って、視線が絡む。思わず吸い込まれそうな気がした。「ヘレン。ようやく見つけた、僕のエンジェル」なぜ懐かしそうに見つめるの?会うのは今日が初めてなのに。からかわれているのだろうとヘレンは思っていたが、やがて、鋭い痛みが頭の芯を走り抜け、予期せぬ怯えが走った。手術で失ったのかもしれない、記憶の奥に潜む、愛の予感にー
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その夜、ホテルが襲撃され、カレンの一卵性双生児の姉は恋人のハルをかばって絶命した。ハルの子を密かに生み、妹のカレンが育てているという“秘密”を彼に打ち明けて。重傷のハルから、息子に会わせてほしいと連絡が入り、病院に駆けつけると、カレンは思いもよらぬプロポーズを受ける。拒絶すると、結婚は姉の遺言だとハルは強引に押し切ろうとする。男の狡さから、姉を真剣に愛そうとすらしなかったのにーなぜ?痛々しいまでに暗い、ハルの目に思わずのまれそうになり、カレンは激しくかぶりを振った。この人は姉さんの恋人なのに。
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