著者 : 伊藤朱里
歯科助手のアルバイトをしている森。彼女の中では三人の「わたし」の意識が、めまぐるしく移ろう。相反する内側の声に引き裂かれる森は、仕事が終わるとスマホでゲームの世界に逃げ込むのが常だった。ある日、職場の「新人くん」が同じゲームをしているとわかり、彼とゲーム内で“友達”になるが…。可愛いに呪われ、強さに囚われ、諦めに蝕まれ、その果てにあるものとはー?一人の女性を通して描かれる世界の歪みはきっと、わたしたちの現在地だ。
どんなふうに生きてもいいはず。私はひとりしかいないのだから。なのに、なぜ、こんなにも囚われてしまっているのだろうー美しい長女、知的な次女、風変わりな三女、年の離れた末妹。母と四姉妹はどう生きてきたか。家族のなかで自分を生き抜くための物語。
県税事務所に勤める、年齢も立場も異なる女性たち。見ている景色は同じようで、まったく違っているーそこにあるのは、絶望か、希望か。太宰治賞作家渾身の新感覚同僚小説!
「あたし、あんたみたいな女って大っ嫌い」だから、化けの皮を剥いでやりたかった。でも、こんなものが見たいんだったか…?専業主婦の母に育てられた、リケジョでバリキャリの志穂子。厳しい教師の母に育てられた、家庭に重点を置く杏梨。女としてのスタンスが異なる二人が。志穂子の兄と杏梨の結婚で突然交わった時、彼女たちは何を思い、動くのか?太宰賞受賞作家の新作。女性のリアルをえぐり出す!
南景以子、29歳、不器用。女性のお稽古事を取材するフリーライター。彼氏(交際10年)と別れたばかり。迷える彼女にもたらされる、親友の突然の転機。人生のヒントはお稽古事教室にある。太宰治賞受賞の新鋭が描く、オンナの友情、そのリアル。
恋人と過ごした不貞の日々。世間の外側で生きる、ただ一人の親友。毎週、同じ時間にかかってくる母親の電話。ちらつく父親の記憶。知らない誰かが奏でるピアノの音。-すべてが澱のように、少しずつ心に沈殿してゆく。「ねえ、私、どうしたらよかったんだろう?」第31回太宰治賞受賞作。「変わらざる喜び」改題。