著者 : 佐々木愛
落合南長崎の独立系カラオケ店「BIG NECO」では、今日もドラマが巻き起こる。 「カラオケの再現映像に出ていそうな女」と過去2回言われたことのある池田。 音が鳴らないトランぺッター・加賀と、その恋敵・サナ。 反抗期の娘と暮らす、元俳優の佐藤待男。 74歳にしてカラオケでアルバイトをする謎の老人・石崎さんと、 石崎さんを心配する指導役アルバイター・小野。 「E.YAZAWA」のステッカーを集め続ける、売れない作家・染井暖。 うだつのあがらない凡人たちが起こす、ちょっとした人生の奇跡ときらめき。 穂村弘さんーー 「夢を諦めてはいけない、何者かにならなくてはいけない。 そんな声がずっと聞こえていた。 世界には自分しかいなかった。 でも、本書を読み進むうちに、呪いは薄れてゆきました。 そこは未知の世界でした。 自分のほかにも人間がいた。 何者かわからない住人たちに奇妙な親しみを覚えました」 柚木麻子さんーー 「カラオケボックスでの出来事は、言語化されることは滅多にない。本作は、あの数々の奇跡をとらえ、ときほぐし、我々がなんでカラオケを愛するのかを、ささやく、のではなくハンドマイクで熱っぽく伝えてくれる」 佐伯ポインティさんーー 「人生の憂鬱に抵抗するには、魂に叫ばせてあげるのが一番だ。 人生いろいろある登場人物たちがカラオケを通して、真っ直ぐ希望を歌うJ-POP歌手たちに元気をもらう姿は、受けた光を乱反射するミラーボールのように美しくて愉快!」 エピローグで明かされる、本書全体を通した仕掛けには思わず笑ってしまうこと間違いなしです。
育たない胸に、どうしてこんなに悩んでいるのだろう。いくつ年を重ねても、いつも人生に自信を持てない。たかが胸なのに。されど、胸ーー。生きづらい世の中との隔たりをやわらかく溶かす珠玉の小胸小説。『ブラ男の告白』『EあるいはF』『授乳室荒らしの夢』『胸は育たない』の4篇を収録。
料理が下手でフラれた私。 嫌いな言葉は「料理は愛情」-- 料理嫌いな優花は、ずっと好きだった真島に高級バレンタインチョコを渡すも 「好きな人に手作りチョコをもらったから」と振られてしまう。 真島が憧れていた相手は料理教室の先生だった。 その日から、彼女の格闘と迷走が始まった! 自炊に挑戦し、料理男子と合コンし、初めて「みりん」を購入するも 料理が上達するどころか好きにもなれずに苦悩する日々。 “料理は愛情”というけれど、料理が嫌いな優花の愛情は一体どこにーー⁉
単行本刊行前から注目の「オール讀物」新人賞作家が、2人同時デビュー! 「これは2018年恋愛小説短篇のベスト」書評家・杉江松恋 はじめてのことをするたび、彼を思い出すーー 痛々しい自意識過剰、空回る都会への憧れ、思い通りにいかない初恋。 思春期の苦くて甘い心情を鮮やかに描き出す、四篇を収録。 プルースト効果という言葉を教えてくれたのは、同じクラスの男子「小川さん」だった。 「はじめてのキスは想像もつかないところでしよう」小川さんはそう言ったはずなのに。 【収録作】 「プルースト効果の実験と結果」 「春は未完」 「楽譜が読めない」 「ひどい句点」 ※オール讀物新人賞受賞作