著者 : 倉持リツコ
過酷な時代を生きた普通の家族、 純朴に生きる少年少女、 飼い主に忠実な二匹の犬、 時代の波に翻弄されながらも、生きることを諦めず、時にぶつかり、友情を育み、ともに成長していく。 (あらすじ) 1950年代後半の中国北西部の貧しい農村、五尺鋪(ウーチープー)。近くには黄河が流れる。この村で父と暮らす中学1年の劉火(リューフォー)は母親を洪水で失い、親友は犬の大黄蜂(ターホワンフォン)だ。村に越してきた同じ年の少女亜軍(ヤージュン)と就学前の弟亜洲(ヤーチョー)、そして犬の坦克(タンク)。後にヤージュンの親友になる小蘭(シャオラン)は吃音のある引っ込み思案の女の子。四人はいつの間にか仲良くなる。 その頃、毛沢東主席は「大躍進政策」を提唱。中国の農村では一挙に共産化が進み、人民公社や共同食堂ができる。国内の鋼鉄の生産量を上げるため、農村では競い合うように土法炉(溶鉱炉)が作られる。レンガで作った炉は温度が上がらず、村人たちは策を練るが……。少年少女にも次々と不幸な出来事が訪れる。 本編、あとがき、解説
言葉が話せず、指を噛むという自傷行為を続ける息子。父親は様々な自閉症治療を試すが効果は見られない。 苦しみと絶望の中、父親は粘り強く息子と向き合う。 その祖母もまた、障がいを持つ夫と長男を持ち、文化大革命中の障がい者への差別や暴力という困難の中で、家族を支え続けてきた。 中国の大江健三郎とも言われる作家が実体験に基づき、苦難に満ちた十数年の道程を綴った感動のノンフィクション小説。 現在中国の世相と社会問題をリアルに描き出した受賞作。 『痛むだろう、指が』(原題:『疼痛吧指头』)は、中国の雑誌『収穫』の2017年長編小説特集に掲載され、同年の「ノンフィクション文学優秀作品ランキング」の2位に選出される。翌年、長江文芸出版社から単行本として出版され、同年10月に有名作家も多く受賞している「第三回施耐庵文学賞」も受賞。 現在、2023年春の公開を目指して映画化が進められている。 第一章 第二章 第三章 訳者あとがきー苦境のなかで新たに見えたもの 倉持リツコ