著者 : 倉本由布
武家の出身ながら、髪結いとして生きる少女・卯野。友人の花絵と、新しい商いの相談も楽しい日々を送っている。近頃ひいきの青物問屋のお嬢さん・里世は、火消しに恋をしているらしい。「恋を叶える」という卯野の噂を信じているようだが、度を超した頻度で呼ばれるようになり、家族も心配している様子。どうやら里世の思いは、ただの恋心ではないようで…。むすめ髪結いの奮闘記、第3弾。
代々八丁堀与力をつとめる浅岡家の娘・卯野は、髪を結うことが大好きで、きれいなものに目がない。武家の娘らしくないと母や周囲にたしなめられながらも、新しい髪型を試したり、町ゆく女たちの髪を眺めるのが何よりの楽しみだ。だがある日、当主である兄が、付け火の濡れ衣を着せられ…。運命に翻弄されながらも「好き」を力に変えて懸命に生きる少女の物語。書き下ろし時代小説。
「ともだち」から「すき」へ。苺子の心の中で、朝くんはいつのまにか大切な存在になっていたの。でも、彼の心は、同じ新聞部の夏実に傾いてしまって、苺子は伝えられない想いをかかえて、せつなくつらい…。夏から秋へ流れていく時の中で、恋敵の桜子と仲よしになったり、先輩華子の恋人の高久部長に心が揺れたりして、苺子がたどりついた結末は。『イヴたちへの伝言』完結編。
中学3年の池上花音。3年5組の教室はいつもの仲間たちー淳悦に一泉、頼子や可織たちーでにぎやかだ。でも受験生だもん、話題は志望高校のことだったりするのね。でも、そんな日々の中で、坂本先生が結婚し、おばあちゃんが亡くなって、花音はまたひとつ、心の階段を登っていく。そして、淳悦と一泉の間でゆれる自分の心にも、決着をつけようとするのだが…。
ママが死んで、6年ぶりにパパの家にひきとられた12歳の池上花音。坂口家にはパパの奥さんの美保おばさんと実の姉のまどかがいたけど、花音の心は新しい環境や中学生になることの不安で、いっぱいだったの。でも、海辺で会ったせいかノッポの一泉という男の子に、なつかしい予感を感じて、花音は新しい季節の扉をたたいた…。少女・花音の成長を描くシリーズ第1巻。
私、小椋未夏は暑さにとても弱い。今日もうたた寝しながらあの夢ー雪野原でひとり立ちつくす夢、を見て泣いていた。私にはなぜかその4歳の時以前の記憶がないのだ。「そんな12年も前のこと、忘れろよ」幼なじみのかっちゃんはそう言ってくれるし、彼の兄の勇人さんも私を包みこんでくれる。でも私は逢ってしまったの。雪見ー私にそっくりな女の子に。何かが始まる…。
私ー小川桃子は童話作家になるのが夢。大の仲よし、成美や奨二、喜芳たちと、17回目の夏をむかえようとしている。でも、長袖のブラウスは着たまま。1年前の交通事故の傷あとが左腕にあるからなの。その原因となったのは、姉の萌ちゃんの彼の拓哉くん。実は萌ちゃんにも言えない秘密が、私と拓哉くんの間にはあったの…。17歳の夏に、永遠を夢見た少女の、物語。
私ー秋本苺子は、海棠高校1年生。まだ4月だというのに、荻久保朝くんと大の仲よし。あ、でもそれって“彼と彼女”としてではなく“姉と弟”という感じで、なんだけど。クラブも同じ新聞部なんだよね。ところがある日、桜子というナマイキな女が現れた。幼稚園から中学まで朝くんと同じとかで大きい態度。性格ブスってヤーね!恋や友情の間でゆれる少女の心もよう…。
菜生の記憶の底に鮮やかに残るピアノのメロディ。あれは、みっつかよっつの頃?だから、13歳の秋。ショパンを弾くひとつ年上の男の子、和音くんに菜生はひと目で魅かれてしまったの。五つ年上の尚樹お兄ちゃんは、そんな私をどんな気持ちで見つめていてくれたのかしら…。めぐる秋が、恋にときめき愛に傷つきながら成長していく少女を見守ってくれている。
17歳の春。蝶子は聖園学院高校の2年生に転入学した。つらい初恋を忘れるために。そして、夏。長崎を旅して、蝶子はふたつ年下の男の子達に心ひかれていく…。やがて、秋、冬とめぐる季節の中で、恋を知り、恋に傷つき、でもその悲しみに負けないで、少しずつ大人になっていく少女の一年。
愛したいーそれは、愛されたいから。愛されたいーそれは、愛したいから。始まる夏の予感に心ふるわせて、17歳の誕生日をむかえた6月の可奈子。心の中には、同い年の歩くんがいて。-でも、突然の嵐。歩の同級生、ちえみも歩が好きで、しかもちえみは白血病だというの。選択をせまられる可奈子。そして歩…。さまざまな愛にゆれる、少女の心もよう。
13歳の夏。深苗は招かれて沓沢家へやってきた。でも、いとこの聖美は部屋に閉じこもったままだし、おじも仕事で不在。広大な館は、死んだように沈んでいた。「へんね。まるで時間がとまってるみたい」そんなある日、館の裏庭で深苗は大地という少年に会った。その昔、ここは美しいバラ園だった、というのだ。いったい、どんな秘密が隠されてるの?少女の心は騒ぐが…。