著者 : 倉田タカシ
押し寄せる技術革新に立ち尽くすあなたへの、未来での正しい溺れ方 円城塔 推薦 紙面を縦横無尽に埋め尽くす、地球の形についての語り 言葉を話す猫とのしりとり 歩いてやってくる迷惑メール 奇想/幻想/未来SF--驚くべき9つの小説世界 スパムメッセージがヒトの姿を借りて、ある日玄関先に現れたら?--現実の少し先にあって、けれど決定的な変貌を遂げた日本社会を、若者たちの視点から活き活きと描いた近未来SF「二本の足で」にはじまり、独特の浮遊感ただよう幻想小説「あかるかれエレクトロ」や、タイポグラフィを駆使した実験小説「夕暮にゆうくりなき声満ちて風」まで。柔軟にして力強いイマジネーションの結晶9編を収めた、書き下ろしを含む初の独立短編集。 ■目次 「二本の足で」 「トーキョーを食べて育った」 「おうち」 「再突入」 「天国にも雨は降る」 「夕暮にゆうくりなき声満ちて風」 「あなたは月面に倒れている」 「生首」 「あかるかれエレクトロ」 あとがき
ひとつ手紙を開くたびに、 心は地上のはるか彼方に飛ばされる。 手紙を受け取るということは、 もうそれだけで旅なんだ。--岸本佐知子(翻訳家) 三人の作家がそれぞれ架空の土地をめぐる旅に出た。 旅先から送り合う、手紙、スケッチ、写真ーー27の幻想旅情リレー書簡。 「この国にはいわゆる“お金”がありません。貨幣の代わりに踊りを踊ります。」「たぶん、翌朝にはチェックアウトできるでしょう。チェックインをしなかったような気もするので心配ではありますが。」「われわれ乗客は無言で顔を見合わせました。すでに『われわれ』と呼んでさしつかえないような連帯感が生まれていました。」三人の作家が架空の土地を旅してまわり、文章や写真、スケッチを送りあう、幻想旅情リレー書簡集。
もしも、うなぎが絶滅してしまったらーそのとき、わたしたちは何を想うのか?元うなぎ屋の父と息子がそれぞれの想いと葛藤を描く「うなぎばか」、とある任務を担ったうなぎ型ロボットの冒険「うなぎロボ、海をゆく」、“土用の丑の日”広告阻止のため江戸の平賀源内を訪ねる「源内にお願い」など、クスッと笑えてハッとさせられる、ポストうなぎエンタメ連作五篇。
倉田タカシ、長谷敏司、早瀬耕、藤井太洋、吉上亮が、「治」「経済」「倫理」「芸術」「宗教」というアプローチから、人類とAIの未来を描く。人工知能研究の第一人者、松原仁らの最新論考を併録。
3Dプリンタが驚異的進化を遂げ、建築物から料理まで直接出力出来る未来。禁断の実験に手を染めるため地球を脱出したファナティックな12人の科学者は、火星と木星の間の小惑星帯にコロニーを建設していた。“始祖”と呼ばれる彼らに産み出された“二世”の虹、霧、針、そしてその下の“新世代”を含む4人は、コロニーを離れ自らの“巣”を建設していた。あるとき虹は、母星の地球から威圧的に近づいてくる巨大構造物に圧倒される。虹たちは対策を検討するため7年ぶりに“始祖”と再会するが、それは過去に2名の“二世”を失った事件に端を発する確執の再燃でもあったー未来的閉塞環境で己の存在意義を失った異形の若者たちの惑いと決意を描く本格宇宙SF。