著者 : 倉野憲比古
目羅博士でも真相は見抜けまい。 大乱歩が読んだら、どれだけ喜んだことだろう。 ーー春日武彦(精神科医)推薦! 心理学を専攻する大学院生の夷戸と彼の先輩の根津、ふたりの行きつけの喫茶店のマスターの美菜は三人で壱岐に旅行にやってきた。 根津の提案でボートを借り、かつて隠れキリシタンの島民が大量死したという曰くある島「弔月島(ちょうげつとう)」の見物に出かける三人。島にはキリシタンの末裔である富豪が築いた奇妙な館・淆亂館(ばべるかん)が残っていた。 上陸した三人は、「館の使用人」を名乗る獰猛な男たちに拉致され、館に軟禁される。そこにいたのは、有名な劇団のメンバーたちとゴシップ記者。淆亂館の主は、彼ら全員と因縁のある、十年前に失踪した「伝説の俳優」なのだと言うが…… 謎の黒衣の男が跋扈し、次々と起こる謎めいた殺人。作者渾身のシリーズ第三作は、異常なロジックと奇矯なトリックが炸裂する傑作変格ミステリ! プロロオグ 渚にて 一 暗鬱なる島へ 二 淆亂館の主人 三 消失と出現と 四 因辺留濃への道行 五 宴の精神病理学的考察 六 悪夢と悪魔 七 会議は踊る、されど進まず 八 了解操作が始まる、すべてが終わる 九 宗教的な、余りに宗教的な エピロオグ 弔い月の下にて
東京・雑司ヶ谷霊園の裏に教会を構える神霊壽血教。教主・印南尊血の様子がおかしいとの相談を受け、心理学を学ぶ大学院生・夷戸武比古は教会を訪れる。あらゆる用事を放り出して、ひたすら観覧車に見入る教主に戸惑う夷戸、やがて教主の娘が密室で変死を遂げ、血塗られた惨劇の幕が切っておとされる。吸血神・ストリゴイを崇拝する奇怪な教団に巣食う邪悪な殺意に、心理学的推理で挑む夷戸。総本部教会でくり返される自殺の連鎖。だがー探偵小説とB級ホラー映画をこよなく愛する新鋭が贈る傑作心理学ミステリー。
ドイツ現代史の権威、ホーエンハイム教授の邸宅・蝙蝠館に招待されたゼミ生たち。住民たちが先祖返りして獣同然の姿になったと伝えられる狗神窪にひっそりと佇むこの館が吹雪に降り込められた夜、恐怖の殺人劇が幕を開けるー。心理学やナチズム、中世の魔女裁判などにまつわる豊富な知識と、鮮やかな仕掛けでミステリ・シーンに殴り込みをかける驚異の新人のデビュー作。