著者 : 加堂秀三
平打の簪平打の簪
御家人出身で大名の小姓を務めていた岡っ引きの菊次。浜町河岸の船宿の船頭・和吉が、平打の簪で頚の急所を刺し貫かれて殺された。昵懇にしていた菊次は、早速、関係者に事情を聞き始め、物証である簪の謎を探り始める。和吉には恋仲の娘・芳野がいたが、急逝してしまい、芳野に贈った簪が妹・萩野に渡っていたこと掴んだ菊次は、萩野を訪ね真相を掘り起こそうと…。遺作書下し。
涸滝涸滝
林義信は大阪府の山村生まれ。父・義次郎は、農業に失敗し、厄介者扱い同様で養鶏場に住み込んでいる。母の君江は若い男と出奔したまま行方不明。義信は、土地での生活を嫌い、役者・俳優への夢を抱いて、上京する。俳優養成所で知り合った平泉基子と同棲、愛欲に束の間の安らぎを求めるが、やがて俳優への道を失う。義信は地道な暮らしをめざし、父親を呼び寄せて、基子との三人暮らしを始めたのだがー。吉川英治文学新人賞受賞作品。
たらちねの母たらちねの母
仕出し程度の俳優稼業、料理屋見習いなど、人生の先行き不透明な位置にある若者の人間模様と精神遍歴-そこには常に、幼い頃に生き別れた母の影があった。“母の死”を契機に幾度も練り直され書き下ろされた、作家たる著者の原体験と60年70年代のアウトロー的な青春像を二重映しにする渾身の連作短篇集。
愛の空恋の森愛の空恋の森
早朝の羽田を、伊沢靖子は三沢へと飛び立った。途中で他の男を好きになるなという婚約者の言葉に送られての一人旅である。しかし飛行機で隣り合わせた青年に心惹かれた靖子は、予定通り2、3日の旅で終わるのか不安を感じていた。翌日、靖子は久しぶりの乗馬で鞍から落ち、そこへ現れたのが飛行機の青年・清隆だった。それは靖子の波乱の運命の幕開けでもあったー。愛に翻弄される男女を描く長篇ロマン。
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