著者 : 加治将一
日本がバブル景気に沸いていた1990年1月31日、新聞が伝える「事件」に国民は仰天した。昭和天皇在位60年を記念した10万円金貨(通称『ヒロヒト金貨』)の「偽造品」がスイスから日本国内に大量流入、と警視庁が発表。その総額は100億円を超えていた。この事件では日本人コイン商が取調べを受け、渦中の人となったが、作家の「私」は疑問を持つ。そして事件の背景に、日米欧、中東、中米を股にかけた巨大な陰謀が浮上するー
歴史作家・望月真司は、一枚の古写真に瞠目した。「島津公」とされる人物を中心に、総勢13人の侍がレンズを見据えている。そして、その中でひときわ目立つ大男…かつて望月が「フルベッキ写真」で西郷隆盛に比定した侍に酷似していたからだ。この男は、若き日の西郷なのか?この大男が彼だとしたら、この写真はいつ、何ために撮影されたのか?謎を解明するために望月は鹿児島へ飛んだ。
「天皇の真実を公表する」そう息巻いていた友人が死んだ。歴史作家・望月真司はその死に疑問を抱き、彼が知った事実を調べるため、支那大陸へ。そこで目にしたのは、キリスト教が中国で流行したことを示す石碑、そして古くからあるイスラム教の寺院。これらが望月の頭の中で結び付けられたとき、ヤマト民族の起源が浮上する!真の古代史を追求する、驚愕の歴史ロマン。
真犯人を捜し求めて二十年の歳月が流れた。犯人を突き止めた私は、再び深い苦悩にとらわれることになった。妻を殺したのは、結局私だったのかもしれない…。新天地ロサンゼルスでの、あの生涯最悪の一夜。リビングルームに眠る妻、首に絞殺の跡。警察の杜撰な捜査、日系社会の誹謗中傷。長く果てしない闇夜に私は二十年間さまよった。自らの体験にもとづいて、ためらい躓きながらも、何者かに導かれるように完成をみた感動の大作。