著者 : 加納愛子
かわいないでかわいないで
柚木麻子さん絶賛! 「勇気を出して誰かの心にふれてみた時の手触り。心にさわられた時のかすかなざらつきと温度。どうしてこんなに思い出させてくれるんだろう。この本がどうしようもなく好きだ。」 人気お笑い芸人にして注目の著者の初の中編小説集。 「黄色いか黄色くないか」 高校生の頃からお笑いに魅せられて、お笑いライブハウスに就職した主人公・唯(ゆい)。ある年末年始、賞レースが集中して芸人の悲喜こもごもが色濃くあらわれる、その季節に繰り広げられる、華やかな「笑い」の舞台裏の人間ドラマに迫る。 「かわいないで」 高校の日本史の授業中、千尋は必死に耳を研ぎ澄ます。隣席の香奈美がひそひそ声で後ろの席のふたりに語る、昨日のデートの一部始終に。千尋がどうしても聞きたいのは、聞き手の透子から香奈美に放たれる「かわいないで(笑)」という絶妙な相槌の一語なのだ。誰もが覚えのある、教室内で織りなされる関係の機微を見事に浮かび上がらせる。 「黄色いか黄色くないか」 「かわいないで」
これはちゃうかこれはちゃうか
「了見の餅」同じアパートに住む友人が元気ないっぽい。「イトコ」イトコという存在の不思議についてバズり記事書きたい。「最終日」美術展の最終日に駆け込んでマウントとってくる奴。「宵」映画研究会の言い伝え、〆切間近になると現れる怪奇。「ファシマーラの女」駅がいっぱい生えてくる変な町で。「カーテンの頃」失った両親の友人“にしもん”と二人暮らし。ちゃうか?ちゃうことないか?全6篇の陽気な短編集。
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