著者 : 加藤しをり
幸せの絶頂から、不幸のどん底へーー 何も言わずにいなくなってしまうなんて。 図書館に勤めるロビンは、イギリスの小さな村に住む18歳。 ある日、近くの空き家の庭で遊ぶ弟をたしなめていたところ、 高級車で乗りつけた精悍な男性に鋭くにらまれ、追い払われた。 リックという名の彼はどうやらその家に引っ越してきたらしい。 倍も年上で傲慢な彼に、どうしてこんなにも惹きつけられるのかしら。 何度か会ううち、ロビンはときめきを抑えきれなくなっていった。 そんな娘を心配した父親から彼とつき合うことを反対され、 泣きながら家を飛び出したロビンは、リックの胸にすがった。 だが冷たく拒まれて喧嘩別れに。好きなのに、なぜこうなるの……? やがて彼女は悲報を耳にするーーリックが交通事故に遭ったというのだ! イギリス女王の故エリザベス2世に認められたキャロル・モーティマーによる、純真無垢なヒロインと大人の魅力を放つヒーローとの年の差ラブストーリー! “ロマンス界の話巧者”が綴る、主人公たちの生き生きとした会話やロマンティックな展開をご堪能あれ。
姉夫婦の旅行中、カッサンドラは甥と姪を世話することになった。子供たちはすぐになついてくれたが、ひとつ気になるのは、何かにつけて彼らが口にする、裏山の山小屋に住む“人食い鬼”の話だ。興味を引かれてそこへ様子を見に行ったカッサンドラは、目の悪い、ひどく無愛想な男性に冷たくあしらわれる。でも黒眼鏡をかけた彼は、鬼にしてはずいぶんハンサムだった。ベネディクトと名乗るその長身のオランダ人男性は、外科医の仕事に復帰するため、ここで視力の回復を待っているらしい。なぜか放っておけず、カッサンドラは彼の目となって読み物を読み、ケーキを焼いては彼を訪ねたーそれが、恋であることにも気づかずに。
スペインの修道院で暮らすホープは、厳格な父の希望どおり外の世界をいっさい知らずに成長した。そして18歳になったある日、ホープのもとに父の代理だという見知らぬフランス人の伯爵が迎えに来る。言われるがまま、ブルゴーニュにある伯爵の豪奢な屋敷へ連れていかれたホープだが、そこで聞かされた話に戦慄したー父がホープを修道院に閉じこめていたのは政略結婚させるため、それまで娘の純潔を守ろうとしてのことだったという。言葉を失うホープに伯爵は告げた。僕は君の父親に復讐するため、今夜君を傷ものにするつもりだと。
フランスのオーヴェルニュ地方に立つ古城ーその城主ブレーズの妻となった若きアンドレアは怯えていた。彼女は従妹が安易に交わした便宜結婚の約束を取り消すため、イギリスからたったひとりでこの城へやってきた。ところがブレーズから執拗に責め立てられて、結局、彼女が身代わりの花嫁になるしかなくなったのだ。私欲のために見知らぬ女性を妻にするなんて、残酷すぎるわ!彼を憎もうとしたアンドレアだったが、美しくも顔に傷をもつブレーズの、閉ざされた心を知り…。名作復刊!
タマラは15歳で両親を亡くしたあと、厳格な伯母に育てられた。そのせいで禁欲的な考え方が染みつき、恋とは無縁の人生を送る彼女が堅物の婚約者を選んだのも自然のなりゆきだった。そんなある日、タマラは休暇でひとりカリブの島を訪れた。「彼ってとってもセクシーだと思わない?」とささやく同じ観光客の婦人の声に顔を上げると、南国に似合わない黒ずくめの服装をした野性的な男性の姿が目にはいった。思わず、謎めいたその男性ザッカリーをむさぼるように見つめてしまい、タマラは激しい自己嫌悪をおぼえた。まさかその数日後、彼に身を捧げることになるとは夢にも思わず…。
サビーナは19歳。父が決めた婚約者のニコラスは45歳。結婚式は2カ月後に迫っているというのに、なぜか心がざわつく。一人になって考えたくて、サビーナはスコットランドへ旅に出た。ネス湖の湖畔をサイクリングしていると、にわかに濃霧が広がり、気づけば彼女は森の中にさまよいこんでいた。ようやく山小屋を見つけて安堵するが、扉を叩いても反応はない。すると窓辺のカーテンが揺れ、小さなふたつの緑の目が光って、思わずサビーナは悲鳴をあげた。「サタンはお節介やきが嫌いでね」背後からの声に振り向くと、目も覚めるようなハンサムな男性が彼女を訝しげに見ていた。
夜勤明けで熟睡していたホリーは、玄関ベルに眠りを妨げられた。色気も何もないストライプのパジャマ姿でドアを開けるとーそこにはなんと、ニール・ウェズリーが!大学時代、姉の恋人だったニール。今は名だたる実業家で、爵位を継ぐ身分でもある。そしてホリーをこっぴどく振った人…。そんなニールが、復縁を迫る元妻から逃げるため、今夜だけ姉に婚約者になりすましてほしいと頼みに来たのだ。だがあいにく姉が不在と知り、彼はホリーにその役を頼んだ。ニールと私が熱烈な恋愛中?そんな嘘が通用するのかしら?疑心暗鬼のホリーに、ニールはキスをした。熱く、激しいキスを。