著者 : 化野燐
白澤の使役者、白石優は、今も失われた研究室の仲間を思い、悲しみを抱えたままでいた。姿を消したままの夏海涼子のこともー。鬼神を操る魔書を巡る有鬼派との戦いは、刑部を離れ、真夏の長崎へ舞台を移す。白石がたどりついたのは、西の果ての阿留賀島。夏海涼子の故郷でもあった。妖怪伝奇小説“長崎編”。
古書店“文車堂”で、龍造寺は小夜子、白石たちには詰問され、“有鬼派”大生部には襲撃される。魔書“本草霊恠図譜”が奪われたというのだ。その行方を追って一同は、知る人ぞ知る存在、“曰くつきの品”を引き取り封じる“呪物館”を訪れる。しかし、そこには数々の不可解な事件が待ち受けていた。妖怪伝奇小説、佳境へ。
美作研究学園都市に傷心の旅から戻った白石と龍造寺。しかし、学園は鬼神の巣窟の如き有様だった。“有鬼派”大生部の不気味な活動。『本草霊恠図譜』を守らねばならない。奇妙な伝承のある牛首塚古墳の発掘、謎の予言メール、驚愕の陰謀が進んでいた。“蠱猫”小夜子たちは阻止すべく戦う。衝撃の妖怪伝奇小説。
美袋学園と千文字薬科大学を巻きこんだ妖怪にまつわる戦いは趣を大きく変えて正体不明の男、龍造寺を語り手、そして主人公として綴られてゆく。小夜子たち無鬼派の味方か、未緒たち有鬼派に与する者なのか?また“渾沌王”とはいかなる鬼神か?怪しすぎる、いい加減男が妖怪伝奇世界を激しくゆさぶる。
有鬼派の暴走により始まった、妖怪にまつわる戦いは、穏やかだった美袋学園都市を凄惨な場に変貌させていく。物語は美袋小夜子と白石優の二人から、時実理一と石和百代をめぐるものとして、あらたに語られ、より激しくなっていく。「陰」「陽」のユニークな二部構成で、叙述されていく化野燐の世にも妖しい妖怪奇譚。
妖怪を具現化する力を持つ禁断の書、『本草霊恠図譜』。図書館の片隅の古びた土蔵から、美袋小夜子がこの書を発見したことで、学園都市は戦いの舞台へと変貌する。“蠱猫”とは?“有鬼派”とはいかなる者たちか?穏やかで近代的な学園都市が激しく凄惨で果てない対決の嵐の中に。妖怪伝奇小説登場。