著者 : 北上次郎
幕末、開国を迫る列強の圧力が高まる中、一人の男が長崎にやってきた。豪商・銭屋五兵衛の遺児である檜山三四郎は50万両という大金を積んだ星雲丸の行方を求めて出島の異人屋敷に蟄伏したのだ。鍵は船長が残した懐中時計。だが三四郎は天誅組崩れの志士に感化され勤王の志を抱くようになる。一方、遠島破りを犯して長崎に流れ着いた梅吉と安は放蕩を続けていたが、三四郎を襲ったことで運命の歯車が回り始めた…。
故郷に戻ったのも束の間、兄・健助とともに越後を追われ、江戸にやって来た檜山三四郎。薩長連合によって日本の新しい時代を開こうとする英公使パークスの元に身を寄せた彼は、密書を携え両藩の巨頭に会うべく動き出す。だが、それを阻止しようとする幕府の刺客たちも三四郎を追尾、開国の鍵を握る暗闘が開始された…。壮大な奇想と圧倒的なリーダビリティ。80年の時を超えた幻の初期時代伝奇作品!
17歳の1年は、特別な1年というわけではない。ただ、日々の苛立ちや焦りは最高潮に達し、大人と子どもの狭間で、できることとできないことのバランスの悪さに悩んだり、はじめての気持ちを味わったりするだけだ。後から振り返ったときに、その頃が特別に感じられることを別にすればー。北上次郎が思春期女子が主人公の物語を厳選。大島真寿美、豊島ミホ、中田永一、宮下奈都、森絵都の作品を集めた傑作アンソロジー。
道端で男に殴られていた女子大生美紀を拾ったバイク乗りの幸雄。奇妙な同居は幸雄が美紀に売春をさせたことで終わったかにみえたが…男女の不思議を描く表題作他、ストリップ劇場で理想の女を見つけた男が彼女を探して旅をする「ひと目だけでも」、会社を辞めた男が故郷で恋人の親友に会う「いつもの彼女、別な彼」等、感情を排した乾いた文章がなぜか通常の恋愛小説よりも深く胸に残る名品7篇を厳選。
サントスとダイヤが埋められたギター「カディスの赤い星」を追ってスペインに渡った漆田は、ギター製作家ラモスの孫娘・フローラが属する反体制過激集団FRAPのフランコ総統暗殺計画に巻き込まれる…。スペイン内戦時の秘密を軸に、日本とスペインを舞台に展開される、サスペンスにみちた国際冒険小説。第96回直木賞、第40回日本推理作家協会賞、第5回日本冒険小説協会大賞受賞作。