著者 : 南條範夫
徳川11代将軍家斉の時代。時の老中・松平伊豆守信明を叔父にもつ、気ままで人懐っこい青年剣士・月影兵庫。彼は叔父の秘命を受けた旅の途中で事件に遭遇する度に、鋭い洞察と上段霞斬りを始めとした武芸を駆使し、解決していく。大雨で足止めを食らった人々が滞在する旅籠で、殺人が起こる「血染めの旅籠」。盗賊が豪商から盗み出した千両箱の在処を探す「偉いお奉行さま」。行方不明だった町一番の美人が、4年ぶりに帰還。それを機に奇怪な殺人が起こる「帰ってきた小町娘」など、傑作17編。
<b>「遺産相続争い」小説、決定版!</b> この財産、めったな奴にやれるものかーー。 河原専造は余命半年と宣告された。 唯一の相続人は年若き後妻。 しかし彼女が遺言状の有無を 弁護士に問い合わせていたことを知り、 専造は激怒。 過去付き合っていた四人の女が生んだ 子供たちを探し出し、 遺産の相続人に加えることにした……。 莫大な遺産をめぐって人間のあくなき 欲望が絡み合う著者の代表作。 江戸川乱歩が激賞した名作、 ついに復刊! (解説:縄田一男) これは私が書いた最初の推理小説である。 それまではわずかの現代小説を除き、 ほとんど時代小説であったが、たまたま、 故江戸川乱歩氏から、推理小説を書いてみないかとの 誘いがあり、かなり躊躇してから、 執筆にとりかかった。(中略) 第一回が載ると、すぐに江戸川氏から、非常に面白い、 従来の本格スリラーとは全く別のものができそうなので 大いに期待していると云うお手紙を頂き、 少々良い気分になって書きつづけたのを覚えている。 (本文「あとがき」より)
純真で無垢な少年の姿は、大人の心を洗い清めてくれるーだが、誰しも少年だったころの昔日を思い返してみれば、他者への憎悪や妬み、邪悪で穢れた心の存在も否定できない。本書は美しくも危険な少年たちの光と闇をテーマにしたミステリーを集めたアンソロジー。かの江戸川乱歩が憧憬する村山槐多の画を巻頭に、推理文壇の名手たちの珠玉の傑作を厳選!
「文化的遺産はすべて、それをめぐる人とのかかわり合いにおいてこそ、後世の人々の心をより強く打つものなのだ」隠密が潜み、裏切りが行われ、亡霊がさまよう。-北は松前城から南は鹿児島城まで、全国三十の古城名城にまつわる秘話裏話伝説記録を、そこに込められた哀しみと憤りと、怨念と呪詛と、闘いとその血汐とともに鮮やかによみがえらせる。
斎藤道三、滝川一益、吉川元春、宇喜多直家、丹羽長秀など全十二将、いずれ乱世に生を受けながら、天下を手中に収めえなかった者たち。なぜ彼らは敗者となったのか、明暗を分けた時はいつなのか。各々の生涯を描く時、そこに浮かび上がるのは鮮やかな「敗者の矜持」。生か死か。手に汗握る戦国・敗北の記録。