著者 : 原宏一
自分の店は持たず、間借り営業で全国を転々とする鮨職人の雅代さん。そんな彼女が間借り先の店主やそこに訪れる客を悩みから解き放つハートウォーミング鮨小説。母親が帰国せずに途方に暮れる少女や、売れなくなったロック歌手、そして迷走中の鮨店二代目…今回も極上鮨を握りながら、雅代さんが大活躍!
自分の店を持たず、間借り営業を信条とする雅代さん。いつものほほんとしていて、ニコニコ笑顔を絶やさない一見、普通のおばちゃんだが、鮨を握らせたら銀座の一流店も顔負けの腕前。しかも、新鮮で貴重なネタを仕入れる人脈ももっている。そんな雅代のところには、間借り先の料理人や悩める若者から相談や困りごとが舞い込んでくるー。鮨だけではなく、相手の胃袋も心も握る雅代さんの魅力あふれるハートウォーミング鮨小説。
厨房車に手書きの木札一枚下げて、日本全国ふらりふらりと、移動調理屋“佳代のキッチン”を営む佳代。ところが新型コロナウイルスの蔓延で、営業休止を余儀なくされた。そんな折、佳代は函館の食堂『自由海亭』閉店の報を耳にする。調理屋名物“魚介めし”に深いゆかりのある食堂だ。佳代が探し続けている両親との懸け橋になってくれた恩もある。居ても立ってもいられなくなった佳代は、厨房車に飛び乗って函館へ。こうして、コロナに喘ぐ人々を訪ねる、佳代の長い旅が始まったー。
コロナ禍をなんとか乗り切ったマリエに大手百貨店が理不尽な要求をつきつける(「マリエの覚醒」)。ヤッさんの一番弟子として何ができるのか…模索しはじめたタカオが「鮨まな」の危機に立ち上がる(「タカオの矜持」)。そして、二人の師であるヤッさんがある日、オモニとともに姿を消す。いったいヤッさんに何が起きたのか。タカオが捜しはじめるが…(「ヤスの本懐」)。シリーズ完結となる表題作を含む3編を収録。
築地から豊洲への市場移転騒ぎでみんなの頼み事を引き受けた末に寝込んでしまったヤッさん。ところが、ダイニング割烹の料理長・里菜がテレビ取材のトラブルを抱えてやってきた。八丈島ロケに同行しようとするヤッさんを、深い縁のオモニは心配するものの、自ら営む韓国食堂にも忍び寄る影がー。表題作ほか二編を収録。
才能のかけらもない素人娘を天才歌姫に仕立て上げ、前代未聞の熱狂を巻き起こすー代表が金を持ち逃げし、消滅した『劇団ゆうまぐれ』。自暴自棄の劇団員たちは、舞台の脚本をリアルな世界で実行して、金儲けを企んだ。船橋駅前で歌っていた女の子をスカウトし、天才シンガー“姫花”を売り出すフェイクプロジェクトが始動する。音楽担当の亮太は素人娘を天才に見せかける作業に苦心していたが、最初の路上ライブで彼女が見せたパフォーマンスに言葉を失ったー。船橋から香港へ、姫花はスターの階段を昇っていくが…。
何をやっても中途半端な青年・ショータ。料理人を志してイタリアに渡ったものの、夢破れて市場で盗みに手を染める始末。そんな彼が出会ったのは「誇り高き宿無し」にして食の達人・ヤッさんだった。ヤッさんに“保護観察”を告げられ、再出発を誓ったショータは、料理人にとって最も大切なものを探し求める。大好評ユーモア人情小説の第四弾!
世界的な「食のガイドブック」の元「格付け人」、牧村紗英。会社を辞め、飲食店の格付け事務所を立ち上げた彼女は、日仏ハーフの娘を持つシングルマザーでもある。主な仕事内容は、人気店の覆面調査。元麻布の高級フレンチ、池袋の行列ができるラーメン店、白浜の料理旅館。けれど絶品料理が自慢のどの店にも「裏の顔」が…。絶対的な味覚と調査能力で、彼女がつける「星」の数は?食小説の手練れによる新ヒロイン登場!
ヤッさんの一番弟子としてドン底から立ち直ったタカオ。妻のミサキは本物の蕎麦職人を目指すため、農家に住み込みで働くことになった。取り残された恰好のタカオは、ヤッさんが何者かに襲われたと聞く。どうやら市場移転を前に、築地では軋轢が絶えないらしい。タカオは自らも修業し直すことを決め、ヤッさんの助手として再び人々のために奔走する。大好評ユーモア人情小説の第三弾!
世界的なグルメガイドの元「格付け人」、牧村紗英。「絶対味覚」を持つ彼女は、独立して会社を立ち上げ、人気店を覆面調査し、「星をつける」仕事をしている。彼女の判断は、企業による対象店への投資を左右する重要なものだ。今回、彼女が調査するのは、カリスマ料理研究家、須賀ユウコが手がけるカジュアルフレンチ、「ユウコの厨房」。プレミア価格がついている幻の日本酒の蔵元、「酒蔵烏鵲」。高級鮨を手軽な値段で味わえると人気の大箱鮨店、「すし海将」。華やかな成功の陰にある嘘、そしてそこには常にある男の存在が…?
失踪した両親を捜すため、移動調理屋を始めた佳代。再会は叶わなかったが、旅先で縁を得た“松江のばあちゃん”から全国各地の港町に調理屋の支店を開いてと頼まれ、再びキッチンワゴンを走らせる。食文化の違いに悩む船橋のミャンマー人女性、尾道ではリストラされた父を心配する娘ー奮闘する人々が持ち込む食材で、佳代は彼らの心をほぐす最高の一皿を作れるか?
どんなに調理が難しい食材でも、心をほぐす一品に変えてみせます!失踪した両親を捜すため、持ち込まれた食材で料理を作る“移動調理屋”を始めた佳代。結局、両親には会えなかったが、貴重な出会いと別れを経験。やがて松江のばあちゃんとの出会いが、佳代を変えた。シングルマザーやお年寄りなど、苦労している人たちのために全国に支店を開いてほしいと言われたのだ。金沢の近江町市場前での営業を皮切りに、佐渡島のロングライド大会では“ズッキーニ麺ポモドーロ”、山形の芋煮会では“手打ち冷やしラーメン”などに挑戦しながら、その想いを実現するために、佳代を乗せたキッチンワゴンは今日もゆく!
愛する築地を飛びだした「誇り高き宿無し」にして食の達人・ヤッさん。シェフ志望の弟子を一人前にできるのか!?-何をやっても中途半端な青年・ショータ。料理人を志してイタリアに渡ったものの、夢破れて市場で盗みに手を染める始末。そんな彼にヤッさんは“保護観察”を告げた。再出発を誓ったショータは料理人にとって最も大切なものを探し求める!超痛快シリーズ最新作。
髭面の破天荒なオヤジ・伸太郎、通称髭太郎がぼろアパートで没頭するのはヴルスト(ソーセージ)作りだった!半端な生き様を改めるため受験勉強に励む勇人は、下の階に住む髭太郎にペースを乱され、挙げ句の果てに彼の作業を手伝う羽目となる。ところが徐々にその奥深さに引き込まれて…。目的に向かって突き進む二人の熱気とヴルストの魅力が迸る痛快青春小説!
念願かなって神楽坂でカフェを始めたマリエ。だが店はすぐに行きづまり、路上を彷徨っていたところを謎の中年男に助けられる。この「誇り高き宿無し」であるヤッさんは、築地市場や料理店を駆け回り、食の達人として関係者の相談に乗っているという。時には啖呵を飛ばし、時には悩む背中を押すヤッさんに、人はなぜ惹かれるのか?マリエは弟子入りし、新たな道を探っていく。大好評ユーモア人情小説の第二弾!