著者 : 原正人
わたしの父親はフランス人で、母親が韓国人。韓国で生まれ育ち、父親とは一度も会ったことがない。フランスに行ったこともない。今は北朝鮮国境近くの町、ソクチョの小さな旅館で働いている。ある日、旅館にフランス人のバンド・デシネ作家がやって来る。わたしは作家の世話をするうち、何を描いているのかに興味を持ち、スケッチブックを覗き見るー。自らもフランス人の父と韓国人の母をもち、スイスで執筆する著者による、全米図書賞翻訳部門受賞作。
フランス各誌が驚愕! 「大事件」とまで評された、鮮烈なデビュー作。 こ の 距 離 が、 私 を 自 由 に し た。 あらたな「越境」小説集。 出身地である韓国を離れ、渡仏した若き鋭才、グカ・ハン。 選びとったフランス語でこの小説を書くことが、自分のための、独立運動だった。 ー - - そこは幻想都市、ルオエス(LUOES)。人々は表情も言葉も失い、亡霊のように漂う。 「私」はそれらを遠巻きに眺め、流れに抗うように、移動している。 「逃亡」「反抗」「家出」、その先にある「出会い」と「発見」。 居場所も手がかりも与えてはくれない世界で、ルールを知らないゲームの中を歩く、8人の「私」の物語。 ー - - 登場人物は誰もがみな移動している。 ある街から別の街に向かう者もいれば、ある国から別の国に向かう者も、あるいはただ川を渡り、向こう側に行くだけの者もいる。 彼らは現実の世界と夢や幻想の世界を、生と死の間を行き来する。 そもそもこれらの短編は、作者である私が二つの言語の間を絶えず往復した成果だった。 (邦訳版書き下ろし「作者あとがき」より) ◇ ◇ ◇ 彼ら彼女らはちっぽけな個人では太刀打ちできない大きな力に直面し、しばしばそれに押しつぶされてしまっているように見える。 だが、グカ・ハンによれば、必ずしもそういうことではない。 登場人物たちは、しばしば世界から身を閉ざし、縮こまっているだけのように見えるが、それは理不尽な世界に対する反抗のひとつのあり方である。 (「訳者あとがき」より) ◆ 温又柔氏、斎藤真理子氏より推薦コメントが届いています! ◆ 静かでありながら、とてつもなくけたたましい。 母語の檻の中でまどろんでいた意識が生き生きと粒立ってくる。 ーー 温又柔 誰かの困惑の中に、すべての答がある。 後を追いかけていきたい、グカ・ハンの迷路。 ーー 斎藤真理子
本書原作、ミシェル・アザナヴィシウス監督による映画『グッバイ・ゴダール!』が 2018年7/13(金)に日本公開決定! アンヌ・ヴィアゼムスキーが ゴダールと過ごした日々を綴った自伝的小説 五月革命に没頭するゴダールと 20歳になったアンヌの結婚生活のゆくえは── 1968年、フランス・パリ。 映画監督ゴダールとアンヌは新しく越してきたアパルトマンで、ともに暮らし始めていた。 五月革命が巻き起こり、学生や知識人によるデモ・ストライキの絶えない毎日の一方、 ベルナルド・ベルトリッチ、フィリップ・ガレル、ビートルズ、ローリング・ストーンズをはじめとする人々との出会いがあった。 幸せを感じつつも、革命に傾倒し商業映画と決別するゴダールに戸惑いを隠せないアンヌ。 二人が別れに至る決定的な出来事が起こるまでの日々が、生き生きと、そしてときにユーモラスに描かれる。 昨年惜しまれつつ亡くなったアンヌ・ヴィアゼムスキーによる、 自伝的小説『彼女のひたむきな12ヵ月』の続編。 『グッバイ・ゴダール!』 7月13日(金)より全国順次公開 主演: ステイシー・マーティン、ルイ・ガレル 監督: ミシェル・アザナヴィシウス 映画公式サイト: http://gaga.ne.jp/goodby-g/
受験勉強に励んでいたアンヌは1966年6月のある日、新進気鋭の映画監督ジャン=リュック・ゴダールに手紙を送る。それが彼女の運命を変えてしまうとは、考えもせずにー。舞台は古き良きブルジョワ文化と若者の新しい文化がせめぎ合い、政治と芸術が混沌と共存していた時代。毛沢東思想の影響を受けていたゴダールは、アンヌを主役に『中国女』の撮影を始める。