著者 : 古矢永塔子
中高生に人気のベストセラー小説『君と、青宙遊泳』。それは、高校教師・卯之原朔也がかつて封印した物語に酷似していた。今は亡き高校の同級生・日邑千陽と過ごした7年前の夏、あれは「僕たちだけの物語」だったはずなのに。覆面作家ルリツグミの正体を探る卯之原の前に、当の本人が転校生として現われるー。
念願だった映画の宣伝会社に転職した弥生。そんななか、夫から切り出された「ある提案」を受け入れられず、忙しさにかまけ、決断を先延ばしにしていた。だが、その日は確実に迫っていて…。(「あなたのママじゃない」)。優良メーカーに内定が決まった健生。サークルで知り合った友達以上恋人未満の彼女から同棲を仄めかされるが、うやむやにしていた。そんなある日、アパートに帰宅すると、かつて池袋で共に暮らした美空が現れ…。(「BE MY BABY」)。初対面なのに物怖じせず、屈託のない転校生の美月を前に、副担任の杏子の心はざわめいた。懸念されることの一つは、クラスの中心的人物で問題児でもある莉愛が虐めの標的にすることだったが…。(「まだあの場所にいる」)。ほか予想外の展開と結末に感嘆必至の全5話。
ぬか床の中には、神さまが住んでいる。母を亡くした槇生は、瀬戸内海に浮かぶ小豆島のスナックで自家製のぬか漬けを振る舞う。パワフルな島の人々のやさしさに触れ、自らの心もほどかれていき…。
北州最北端の田舎町で、無気力に生きていた高校生・蒼は、一人の少女ー儚げな外見とは裏腹に芯の強さを持つ“幽霊”の凛と出会う。ある人物の死を気がかりに思う彼女の力になるべく、事件の調査を始めた蒼だったが、その真相に辿り着いたとき、明かされたのは二人の絆にかかわる大きな秘密だった。-触れたいのに触れられない、そして絶対に“好きになってはいけない”。不器用な少年と強がりな幽霊少女が紡ぐ、ラブストーリー。