著者 : 司城志朗
文久二年、東海道は生麦村で英国商人が島津久光率いる薩摩藩の行列と鉢合わせ、殺傷される。現場近くから外国人居留地へ連行されたのは土佐を脱藩した浪士・坂本龍馬、そして元薩摩藩の鉄炮指南役斬善次郎とその妻子だった。善次郎が江戸に勝麟太郎を訪ねると、勝は故島津斉彬から預かっていた懐中磁石を善次郎の一子・爽に託す。そこに彫られた漢詩は何を意味するのか。斉彬の死に隠された真相を糺すべく、善次郎は西郷吉之助へ書状を認めるが…。くすぶる薩摩と英国の火種、爽を連れ戦地へと急ぐ善次郎。激動の幕末を、最後のサムライが疾駆する痛快活劇第三弾。
めっぽう腕の立つサムライが長崎で用心棒をしているという。噂を耳にした福澤諭吉は文久元年、江戸から書状を送る。オランダ坂のサムライは、妻子とともに薩摩の関を破ったあの脱藩浪士にちがいないー合伝流鉄炮師範で十五匁筒の使い手・斬善次郎だ。故島津斉彬から下賜された愛刀・波平に不思議な模様を見つけた善次郎は、かつての盟友への思いと薩摩藩の秘密を胸に秘め、妻子を連れ京都へ向かう。だが薩摩の実権を握る島津久光もまた一千の兵を率いて上洛を目論んでいた。西郷吉之助、坂本龍馬ら幕末志士と、風雲急の世を熱き魂で撃ち抜く痛快活劇第二弾。
安政七年三月、桜田門外の変。世に維新回天の軸がまわりはじめ、八年後の江戸無血開城に至るまで重要な役割を果たした男が三人いた。勝麟太郎、西郷吉之助、そして薩摩藩合伝流鉄炮師範で、十五匁筒の使い手・斬善次郎安綱。藩主・島津斉彬の謎の死後、実権を握った久光に疎んじられ、鹿児島城下の屋敷に軟禁されていた善次郎は、藩の運命をも左右するある秘密を守り抜くため、妻子を連れ脱藩。次々と襲いかかる討っ手に、百発百中の士筒が火を噴く!動乱の世に国を捨て、妻子の命を、藩の秘密を守るべくニューヒーローが駆け抜ける、痛快幕末エンタテインメント。
今から一年前、誰かが私の人生に魔法をかけたー。その晩、左利きのイラストレーター鳥山敏治が帰宅すると、灯りの消えたリビングにはキャンドルの炎が何本も揺れ、そしてかたわらには妻が死体となって横たわっていた。そのとき電話が鳴る。受話器から聞こえてきたのは、まぎれもなく自分の妻の声だった。にわかに信じがたい出来事を機に、鳥山の日常は思わぬところから覆されていく。自分の人生は誰のものなのか?サントリーミステリー大賞読者賞に輝いた傑作が十余年の時を経て文庫化。謎が謎を呼び、人間の記憶の痕跡を鋭く抉る極上のミステリ。
都内で猟奇的殺人事件発生。連続するいずれの事件現場にも不可解な記号が残っていた。同一犯かー警視庁特命係の杉下右京と亀山薫が捜査を進めるうち、インターネット上に書き込まれた処刑リストが浮上する。犯人の次の標的は三万人のランナーと十五万人の観衆が集う東京ビッグシティマラソン。いま特命係のふたりに最大の事件が訪れる。現場に残された記号の意味は?真犯人は?右京と薫はこの危機を回避できるか?二〇〇八年スクリーンを席巻した大ヒット作に右京にまつわるオリジナルエピソードも満載した究極のノベライズ。映画とは異なる意外な結末が。
月曜日、21時58分。KBB関東テレビの看板ニュース番組『デイウォッチ』プロデューサー降城卓に非常呼集がかけられた。彼が担当する金曜日の人気コメンテーターと女性アナウンサーのスキャンダルが週刊誌で報じられるという。一方でその晩、警官が青年を銃殺するという不可解なニュースが飛び込んできた。折りしも番組では、特集「日本の警察は大丈夫か」が放送され、警察に情報公開を求める山梨県知事が紹介されていた。すべてのエピソードが伏線となり、金曜日の放送へ向け、一週間ノンストップで真実が明かされていく、書き下ろし報道サスペンス小説の傑作。
私立探偵・天白五郎は、二人の女性の依頼を立て続けに受け、トラブルに巻き込まれた。毬子と名のった女は、闇金融業者を彼におしつけて、行方をくらます。優花が取り戻してくれと頼んだ携帯電話を探してみれば、そこには死体が転がっていた。腕っぷしだけはいちばんの、戦車みたいな探偵は、縺れて絡んだ謎の糸を解きほぐせるのだろうか。
東南アジアの一国で起きたクーデターの余波が日本にも及んできた。反クーデター派が東京に臨時政府を樹立したのだ。ところでクーデター派、臨時政府の双方が狙っているのが日本にいるその国の王女さま。だが彼女をガードしているのがマザコンのフリーターというのだから心配だ…。
「逃げろ!お前、殺されちまうぞ」それは突然やってきた。正体不明の男たちが、ひたひたあとを追ってくる。次から次と襲ってくる。その数なんと五、六百…。逃げだしたのは岡田遊子、24歳。見かけは平凡なOLだが、実は彼女には秘密がある。悪夢を誘う謎もある。ひょんなことから知り合った2階の男が、救いの手を差し伸べてきたように見えたが…。スリルとユーモア、恋とアクション。読みだしたらとまらない、書き下ろし傑作長編ロマンチック・ミステリー。
パリに憧れる23歳のツアー・コンダクター湯川真美子の今度の仕事は香港パックツアー。いまいちノリのこない真美子が香港最初の夜に遭遇したのは、なんと殺人事件。伝説の秘宝・「キング&クイーン」をめぐる香港マフィアの抗争に巻きこまれてしまったのだ。スリルとユーモアと過激なアクション、そしておしゃれな恋もハイピッチで展開する。傑作ロマンチック・サスペンス。
私か?私はなにひとつ怖くない、老いぼれの私立探偵だ。失うことのできる生命も、ほとんど残っていない。横丁のご隠居というのが、私の通り名だ。昔を言えば、警視庁でも指折りの、こわもてのする警部補だった。定年まで、四十年から勤めあげたのだ。いまは横丁のマンションで、2匹の猫と暮らしている。だが、この横丁でさえ、ひとは悩みを持っている。そして私のところへやってくる。-めったには来ないが。人情の機微に触れるハード・アクション&ミステリー。