著者 : 吉井智津
偽りの空白偽りの空白
メルボルンで働く記者のキーは、弟の不審な死を知らされ、久しぶりに帰省する。5歳下の弟デニーは、ベトナム系の一家のなかでも、オーストラリアに適応した優等生だった。そんな弟が殺された。レストランの店内で何者かに殴られて。警察の説明にキーは愕然とする。その日、現場にはデニーの同級生も教師もいたのに、目撃証言がひとつもないというのだ。必死に事件を調べるキーだったが、知るほどに弟の姿は揺らいでいく。デニーは変わってしまったのか?そもそも自分が弟を何も見ていなかったのか?やがてキーは、置き去りにしてきた過去に向き合うー。オーストラリアの移民社会の歪みに切り込む文芸ミステリ作品。ロサンゼルス・タイムズ文学賞ミステリ/スリラー部門最終候補。
闇の牢獄(1)闇の牢獄(1)
ストックホルムで起きた、サッカー審判員殺害事件。単純な暴力沙汰と思えたが、アフガニスタン難民である被害者カビールには、想像を絶する過去が。容疑者の人となりを知るミカエラは、地域警官ながら捜査に参加、尋問の専門家で心理学者のハンス・レッケと出会う。独特の心理分析で捜査をかく乱するレッケだったが、ある日ミカエラが地下鉄に飛びこみそうになった彼を救ったことをきっかけに、事件の奥に潜むテロと拷問の闇に呑み込まれることにー。上流階級で元ピアニストのレッケ、チリ人移民で家族に問題を抱えるミカエラ。奇妙なコンビが、時代を越え、真実に迫る!
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