著者 : 吉川朗子
地球規模の環境問題が深刻化する現在、 進展めざましい 「エコクリティシズム」に、 環大西洋的(トランスアトランティック)交流の視点を導入。 エコロジー思想の源泉のひとつ、 イギリス・ロマン主義と アメリカのロマン主義(アメリカン・ルネサンス)の 環境文学・環境思想の相互作用、浸透を分析。 20世紀以降の自然保護運動や 環境意識に与えた影響、現代の環境批評に繋がる観点を捉える。 第1部 環大西洋の言語空間──自然・精神・歴史 第1章 「見えざる世界の証明」 ──スヴェーデンボリ、ブレイク、エマソン (鈴木雅之/京都大学名誉教授・宮城学院女子大学学芸学部特命教授) 第2章 「歴史」の解体 ──エマソンの自然像と環大西洋思想の文脈 (成田雅彦/専修大学経営学部教授) 第3章 トランスアトランティックな遡行とエコロジカルな再生 ──メルヴィルの小説におけるアメリカ独立革命 (竹内勝徳/鹿児島大学法文学部教授) 第2部 物語る自然のトランスアトランティックな共鳴 第4章 ミルトン、コウルリッジ、ソロー ──レテの川から難破の浜辺へ (伊藤詔子/広島大学名誉教授) 第5章 ワーズワスからソローへ ──「躍動する物質」のロマン主義的系譜 (小口一郎/大阪大学大学院言語文化研究科教授) 第6章 破局のエコノミー ──クレアとソローの自然史 (金津和美/同志社大学文学部教授) 第7章 メルヴィルとマテリアル・エコクリティシズム ──トランスアトランティックに捉えるその創造性 (藤江啓子/愛媛大学名誉教授) 第3部 自然と人の持続可能な関係性に向けて 第8章 環大西洋の田園共和主義と北方の原野 ──ウルストンクラフトの環境意識 (川津雅江) 第9章 鯨のエコロジー ──『白鯨』のテクノロジーとエコノミー (植月惠一郎/日本大学芸術学部教授) 第10章 楽しむ心を持つすべての人に ──風景観光・歩行の詩学・自然保護 (吉川朗子) コーダ 経験主義、情報管理、環境人文学 (スコット・スロヴィック/ アイダホ大学教授、ASLE機関誌ISLE編集長 【大野美砂(東京海洋大学学術研究院准教授)訳】)