著者 : 名取佐和子
しずかな波音、やさしい食事、ぬくもる温泉、そして何よりあなたのための一冊を。戦前から続く海辺の老舗旅館・凧屋の名物は様々な古書を収めた文庫=図書のコレクション。少しばかり“鼻が利きすぎ”な若女将がすすめてくれる「お客様と同じにおい」を纏った文豪たちの小説が、訪れる人の人生を揺らすー。
愛する妻を若くして病気で失った幹彦と、母が恋しくてたまらない幼い姉妹・梢と若葉。傷心の父娘は、鎌倉七里ヶ浜に居を構え、新生活を始める。美しい海、地元の商店街の大人たち、増えていく友達…三人は少しずつ街に馴染み、七里ヶ浜が地元になっていく。とくに姉妹の成長を節目節目で支えたのは、いつも白猫と一緒に現れる少女・マキちゃんだった。幼かった姉妹が自分の道を歩き出し、父のもとを巣立つまでを見まもる、優しい物語。
江の島に「ねこもりさん」と呼ばれる女たちがいた。それは島の猫の世話をするという、とある食堂の隠れた仕事。一家の女たちが、ねこもりとして生きたそれぞれの人生は、新しい命を結び、未来を繋いでいく。百年の時を経てもたらされた奇跡に涙があふれる感動作。
好条件、好待遇の期間限定シェアハウスキャンペーンで集まった、年齢性別バラバラの男女4人。管理人を含めた共同生活の中、彼らの仲は徐々に深まっていくが、風見鶏がなくなったことがきっかけで、住人達は疑心暗鬼になっていく。彼らが集まったのは偶然?それともー。明かされる真実に心が驚きと優しさで満たされる、爽快な余韻が残る傑作。
江の島に「ねこもりさん」と呼ばれる女たちがいた。それは島の猫の世話をするという、とある食堂の隠れた仕事。1915年のすみゑ、1963年の筆、1988年の溶子、そして2017年の麻布。一家の女たちが、ねこもりとして生きたそれぞれの人生は、新しい命を結び、未来を繋いでいく。