著者 : 名取佐和子
戦前から続く老舗旅館・凧屋の名物は、様々な古書が揃った文庫=図書コレクション。若女将が書棚から選ぶ「あなたと同じにおい」の一冊が人生を動かすーー。 「眠れない夜に、読んでみてください」 しずかな波音、やさしい食事、ぬくもる温泉、そして何よりあなたのための一冊を。 海辺の老舗旅館を舞台に、川端康成などの文豪たちによる名作が人の縁を繋いでいくーー 司書や書店員からの絶大な支持を集める作家による、心の深い部分にまで届く連作短編集をお届けします。 ◆あらすじ 戦前から続く小さな旅館・凧屋の別名は文庫旅館。名物の図書スペース「海老澤文庫」には、今は名前しかわからないかつての常連・海老澤氏が寄贈した膨大な蔵書が揃い、若女将の丹家円(たんげ・まどか)があなた向けの一冊をそのなかからおすすめしてくれることもある。 お客様と同じにおいがする=宿泊者にいま必要な物語が不思議とわかる円だが、自分自身はその「利きすぎる」嗅覚ゆえに小説が全く読めないという。 夫や家庭に縛られてきた妻、同性の幼馴染に隠した想いを寄せる青年、妹の遺した子を育てる姉。訪れる人々の人生と文豪たちの作品が交錯し、道が開けていくその向こうで、海老澤文庫の、そして円自身にかかわる秘密も明かされていくーー。 ◆本編に出てくる文豪の名作 一冊目ーーー川端康成 『むすめごころ』 二冊目ーーー横光利一 『春は馬車に乗って』 三冊目ーーー志賀直哉 『小僧の神様』 四冊目ーーー芥川龍之介 『藪の中』 五冊目ーーー夏目漱石 『こころ』
愛する妻を若くして病気で失った幹彦と、母が恋しくてたまらない幼い姉妹・梢と若葉。 傷心の父娘は、鎌倉七里ヶ浜に居を構え、新生活を始める。 美しい海、地元の商店街の大人たち、増えていく友達…… 三人は少しずつ街に馴染み、七里ヶ浜が地元になっていく。 とくに姉妹の成長を節目節目で支えたのは、いつも白猫と一緒に現れる少女・マキちゃんだった。 幼かった姉妹が自分の道を歩き出し、父のもとを巣立つまでを見まもる、優しい物語。
ある食堂にもたらされた、百年目の奇跡。江の島で食堂を継ぐ女たちが懸命に生きたそれぞれの人生を描く感動作。 購入はこちら 書籍の内容 江の島に「ねこもりさん」と呼ばれる女たちがいた。それは島の猫の世話をするという、とある食堂の隠れた仕事。 1912年のすみゑ、1967年の筆、1988年の溶子、そして2017年の麻布。一家の女たちが、ねこもりとして生きたそれぞれの人生は、新しい命を結び、未来を繋いでいく。あなたの血にもきっと流れている、百年の物語。 目には見えなくても、そうとは知らなくとも、私たちの中には確実に、母から、祖母から、脈々と引き継いだものが存在するのだ。それが今の自分を作っていると思うと、なんだか自分自身が愛おしくなってくる。--大矢博子(書評家)
好条件、好待遇の期間限定シェアハウスキャンペーンで集まった、年齢性別バラバラの男女4人。管理人を含めた共同生活の中、彼らの仲は徐々に深まっていくが、風見鶏がなくなったことがきっかけで、住人達は疑心暗鬼になっていく。彼らが集まったのは偶然?それともー。明かされる真実に心が驚きと優しさで満たされる、爽快な余韻が残る傑作。
江の島に「ねこもりさん」と呼ばれる女たちがいた。それは島の猫の世話をするという、とある食堂の隠れた仕事。 1912年のすみゑ、1967年の筆、1988年の溶子、そして2017年の麻布。一家の女たちが、ねこもりとして生きたそれぞれの人生は、新しい命を結び、未来を繋いでいく。あなたの血にもきっと流れている、百年の物語。 目には見えなくても、そうとは知らなくとも、私たちの中には確実に、母から、祖母から、脈々と引き継いだものが存在するのだ。それが今の自分を作っていると思うと、なんだか自分自身が愛おしくなってくる。--大矢博子(書評家)