著者 : 塚本青史
雨の降る夜は、何かが起きる、なぜ女は、突然の凶行に走ったか。唐初期、武将の家に生まれた武照(則天武后)は、幼い頃より美しさと賢さが際立つ娘だった。のちに後宮へ入り、皇帝・李世民(太宗)の寵愛を受けるものの、ある理由から遠ざけられるようになる。そして、凡庸極まる皇子、李治(のちの高宗)に接近する武照だったが、その心底には…。中国史上唯一の女帝、その波乱に満ちた生涯を描く歴史大作。
帝位簒奪のためならば、血を分けた者も容赦なく消すー。李治(高宗)が帝位にあっても、唐の政治的実権は皇后・武照(則天武后)が掌握していた。彼女に邪魔者の烙印を押されれば、肉親、忠臣であっても容赦なく消されていく。李治の死後、あらゆる策を謀り、遂に皇帝となった武照は、残虐な暴力支配を強める一方で、情欲に溺れ…。稀代の悪女を描いた書き下ろし歴史大作、いよいよクライマックスへ。
国際色豊かな唐帝国の全盛期、玄宗皇帝の時代。遊牧民族の小競り合いが絶えない辺境の地で、ソグド人の父と突厥の母をもつロクシャンこと安禄山は謎の日本人・井真成と出会った。商才を磨きながら武人としての出世を重ねた安禄山は、豊かな経済力を背景に、ついに中央で皇帝と楊貴妃の寵臣に上りつめる。しかしそれは、飽くなき権力闘争の幕開けに過ぎなかったー。唐帝国を揺るがした男の生涯を描く、長編中国歴史小説。
曹操の魏、孫権の呉、劉備の蜀が鼎立する「三国志」の時代。曹操が没すると、跡を継いだ曹丕は献帝に禅譲を迫り、ついに後漢は滅んだ。皇帝となった丕は、有能な側近、司馬仲達に絶大な信頼を寄せ、次の皇帝・叡も仲達を重用した。大将軍に昇進した仲達は、北伐を企てる諸葛亮率いる蜀軍と、五丈原で対峙する。しかしそれは、「三国志」の通過点に過ぎなかった…。「三国志」の時代に幕を引いた男を描く、中国歴史小説の傑作。
戦国七雄が割拠する紀元前三世紀。他国へ遣られた人質の子として生まれながら、大商人・呂不韋の深謀遠慮によって、わずか13歳にして秦王に即位。政敵を倒し、三度の暗殺未遂を乗り越え、権謀術数と軍事力によって全中華を制したファースト・エンペラー。権力をほしいままにした男の49年の生涯を描き切る。
春秋末期、呉の策士・伍子胥は、孫武の遺した兵法を実践して越を打ち破る。敗れた越の軍師・茫蠡は、越王に愛された絶世の美姫・西施を間者に仕立て、呉王の後宮に送り込むという起死回生の策にでる。稀代の軍師らが仕掛けあう壮烈な策謀に、縦横策で弱国魯を守る孔子の知謀が絡み、宿命の抗争は新たな光芒を放つ。故事成語が現在に伝える呉越の戦いを、新視点を加えて描く壮大な春秋興亡史。
「季布の一諾」で有名な季布をはじめとして「一諾千金」な信義に篤い男伊達の世界。単なる「游侠の徒」ではなく身の危険を顧みず人を援ける侠気を生きた男たちの物語。項羽から劉邦、中国の漢の時代へといたる大ロマン。