著者 : 夢枕獏
月の王月の王
「世の中には、わざわざ飢えた魔の顎の中へ首を突っ込みたがる輩が、本当にいるのでございますよ。我が殿アーモンさまも、そのおひとりでございましてな。かような所業をなさろうというのも、全ては退屈から始まったこと。人語を解する狼の話にいたく興味をもたれ、シヴァ神が舞い降りるという聖なるムリカンダ山へ出掛けたのでございます。旅に出る度、恐ろしいことばかり。そのうえ、この山には月の種族が棲むと、皆が怯えるのでございます…」古代インドを舞台に、鬼才が紡ぎだす、美しくも怪奇な物語の数々。
黄金獣(上)黄金獣(上)
「超絶の美形で、超A級の精神ダイバー。俺が信用するのは、死体とやらせてくれた女と金だけ」と日頃から豪語する毒島獣太は、ある日、突然不能に陥った。美人女子大生とベッド・インの最中にである。そしてその直後、切断された女の手首が送り付けられ、さらにわけも判らぬまま異様な殺気を放つ男に襲われた。“突然の不能”“女の手首”“襲撃”これら三つの出来事は、いったい何を意味するのか?やがて一連の事件は、二年前、宗教団体黒蓮会の教祖千々岩三風にサイコダイブし、“ある風景”を、毒島が見たことが原因らしいとわかった。眠れる凶人三風の秘密とは?彼を慕う美女八人の思惑とは?事件は巨大な暗黒の顎を開けつつあった。人気絶頂の著者が、鮮烈の人物・毒島獣太と陰陽師ひるこを得た描く精神ダイバー・シリーズの第十弾。